調整方法
1.重心調整
Vランチグライダーを上手に飛ばすためには重心位置の調整がとても大切です。
水平尾翼の後ろにエレベーターが切ってありますが、エレベーターは重心調整を行った後に最終の微調整をするものです。
エレベーターの調整効果と重心位置の調整効果を比べると重心位置の調整効果の方が大きいのです。
エレベーターは、1mmのスチレンの厚さ1枚分ぐらい上に調整することが多く、僅かな機首下げやノーズが上下に揺れるピッチング傾向を止めるために使います。
それ以上にエレベーターを操作すると、打ち出した直後の高速時に宙返りや急激なノーズ下げを発生させて上手く飛びません。
Vランチグライダーは、ゴムの打ち出し直後は弓矢のように真っ直ぐに進ませることが重要ですので、エレベーターを上下に曲げてノーズの上下動を作ることは本来の性能が出ないことになります。
Vランチから綺麗な滑空姿勢に入れるための最重要ファクターが重心位置の設定です。
未調整の状態でVランチすると、機体が地面に激突して壊れることがありますので、先ずは機体を壊さない方法で重心位置を確認します。
エレベーターの曲げをゼロにし、ゴムカタパルトを使って20度ぐらい上方に向けてテストランチしてみます。
このとき翼は水平にします。
必ず人のいない方向に向けて打ち出してください。
機体が真っ直ぐに進むか緩やかに上昇しながら進み、スピードが無くなって綺麗な滑空に移れば重心位置はOKです。
これに対し、スピードが無くなるとがくんとノーズを下げ、地面に向けて下降する場合にはオモリが重過ぎです。
その場合、オモリを少しめくり、角の2mm × 2mmぐらいをハサミで三角形に切り取ります(右写真)。
切り取りと飛行テストを繰り返し、スムーズに滑空に移るようになるまで調整します。
一方、スピードが無くなると一旦ノーズを下げ、直ぐに上向きに回復して、後はノーズをヒョコヒョコと上下させる場合にはオモリが軽過ぎです。
この時は、セロテープなどを少し巻き足します。
重心の調整が終わると一度上向きにVランチしてみて下さい。
ここまでで大よその調整が終わっていると思いますので、あとは必要であればエレベーターを僅かに上下に調整します。
多くの場合、水平尾翼の厚み1枚分だけ上向きに調整すると上空での返りが確実になると思います。
尚、重心の働きについては こちら をご参照ください。
2.旋回調整
Vランチしたグライダーが滑空状態に入ったあとは左右何れかに旋回すると楽しさが増します。
旋回調整すると近くに降りてきますので、飛ばす度に遠くまで機体を取りに行かなくて済みます。
飛行場所が比較的狭い場合には場外に出にくくなります。
さらに、旋回させることでグライダーが上昇気流の中に留まり易くなり、滞空時間を稼ぐことができます。
日射によって地面が温められると周辺の空気も温められます。
そのときに冷たい風が吹き込むと、風は温められた空気の下に入り込み、暖かい空気は地面から離されて上昇を始めます。この上昇速度は例えば2~3m/秒であり、グライダーが沈む速さを上回ることが多いので、グライダーがタイミングよくこの空気の中に入ると一緒に上昇していきます。
空気が上昇するとき温度は100m毎に約1℃ずつ下がりますので、仮に、地上の温度が周囲よりも2℃温められるとその空気は200mまで上昇することになります。
200mまで機体が上昇するともう見えなくなるかもしれません。
このように「飛んで行っちゃう」ことを紙飛行機の世界では視界没と言います。
視界没になると機体が無くなって悲しいのですが、それ以上になんだかとっても興奮します。
さて、旋回調整ですが、図のように水平尾翼を傾けます。
右に傾けると尾翼の揚力(青)が右に向き、テールが右に流れるようになって左旋回します。
左に傾けると逆に右旋回するようになります。
傾きを増やすと旋回度合いが大きくなります。
ただし、あまり傾け過ぎるとスパイラルダイブとなって直ぐに降りてきてしまいます。
水平尾翼を傾けるときは、機体を裏向けて尾翼全体を机の面などに置き、胴体部分を持って慎重に傾けます。
このとき水平尾翼が前後に傾かないように注意します。
水平尾翼に前後傾斜がつくと機首上げあるいは機首下げの癖が出てしまいます。
尚、旋回調整の詳細については こちら をご参照ください。