オールド RADO の修理 7(最終回)

admin   12月 15, 2018   オールド RADO の修理 7(最終回) はコメントを受け付けていません。

このシリーズ最終回です。

まず風防の手入れからです。
表面には沢山のひび割れがあるのですが大きな打ち傷はありません。
そこで、どれだけ綺麗になるか磨いてみることにしました。

この風防はプラスチック製でケースの縁溝に嵌め込んであります。
専用工具で周囲を掴み、ギュッとすぼめて縁溝から取り出します。

まずはひび割れの除去です。
ペーパーを使い、240番→400番→800番→1200番→1500番の順に磨きます。

手だけで磨くのは大変なので、ハンドドリルに自作の円盤冶具を取り付け、そこに両面テープで風防を貼り付けます。
ドリルを低速で回しながら、木片に巻き付けたペーパーを当てます。

この風防には日付用のレンズが付いていますが、内側に膨らんでいて表面側はフラットです。
とても磨きやすいです。
240番のペーパーでひび割れが無くなるまで磨き、後はペーパーの番手を上げて磨き傷を消していきます。

写真はありませんが、仕上げは 8000番の研磨剤をヒノキ棒に付けて撫でるように磨きます。
表面が完成したところでケースに嵌めてみました。

何か、いまいちです。
改めて見ると、裏面にも小さなひびが沢山入っていて、斜めから見ると光ります。
それに、10時位置にある大きなひびが目立つようになってしまいました。

やっぱり新品に交換しよう!

例によってヤフオクで風防を探しますと、ちょうどRADO用の直径30.5mmが出ていました。
こちらは特に競うことなく開始価格で落札することができました。

流石に新品は変色がなくクリア感が半端ないです。
見栄えが大幅に変わります。
早速ケースに付けてみました。

風防はOKです。
あとはケースの小傷ですね。

ケースは20μmの金箔ですから磨き過ぎると地肌が出てしまいます。
金属磨き用のアモールをヒノキ棒に付けてまず大よその傷を減らし、仕上げに8000番の研磨剤で磨きました。
金は柔らかいので直ぐに磨けてしまいます。

いろいろありましたが、ようやく完成しました。

ビフォー アフターです。

文字盤が少し心残りですが、まずまずの復活ではないでしょうか。
写真では上手く表現できないのですが、金独特の軟らかい色になりました。
ばねを折ったときは慌てましたが、なんとか収まって良かったです。

時計をBさんに郵送したところ、早速、お父さんの仏壇に供えて頂いたとのことです。
その週末にはベルトを買いに行かれるとかで、また元気に動いてくれると思います。

山崎

オールド RADO の修理 6

admin   12月 14, 2018   オールド RADO の修理 6 はコメントを受け付けていません。

こんにちは

RADOの修理も終盤になってきました。
リューズの位置固定ばねが入手できたので機械の組み立てが終了しました。

全ての部品の汚れをアルコールとブラシと超音波洗浄機できれいにしました。
機械をケースに止めるねじが一つ欠けていましたが、手持ちのジャンク時計から流用しました。

これは自動巻き機構の歯車です。

三つの歯車が見えますが、左上の歯車がローターの回転を受ける駆動歯車です。
右と下の歯車がワンウェイクラッチで、駆動歯車の歯が双方に掛かっていて、ローターの回転がどっちに回ってもこれら二つのうちの片方がゼンマイに回転を伝えるようになっています。

ワンウェイクラッチは夫々ルビー付の円盤が上下2枚あります。
上下の歯車にはルビーが6個ずつ使われているので、ワンウェイクラッチ2個分で24個のルビーが使われています。
あと、ローターの駆動歯車に10個のルビーが使われているほか、この歯車の軸受けにも使われていますので、自動巻きユニットだけで35個以上のルビーが使われています。
この時計は57JEWELSですから、通常の機構部に20個ほどのルビーが使われています。
一般の時計は17個程度ですから、なかなかの豪華仕様です。

ワンウェイクラッチの歯車にルビーが入っていない孔があるのはルビーが脱落したのではなく、オイルを指すメンテナンス用の孔です。
この中にものすごく小さな爪と歯車が入っています。

次はリューズです。
長年の使用でリューズがすり減り、上手く指が掛かりません。
なので、オリジナル性よりも実用性を優先して市販のものに交換します。
オリジナルを分解するとこんな感じです。

リューズは巻き芯のねじにねじ込んであるだけなので、ペンチで巻き芯を掴んで、リューズを手で回して外します。

ネットで良さそうなリューズを探そうとしました。
ケースが金色なので、リューズも金色を選びます。
しかし、ここで少々悩み発生です。
巻き芯のねじ径とリューズのねじ径が合わないのです。
オリジナルの巻き芯のねじは1.0mm径なのですが、市販のリューズには1.0mmがなく、殆どが0.9mm径のねじです。

RADOの純正リューズが見つかれば問題ないのですが、品がなく、またあっても値段が張りそうです。
そうすると、やはり0.9mmねじのリューズを使いたくなります。

そこでネットで探したのが、延長巻き芯です。
これが優れもので、雄ねじと雌ねじが切ってあって、雄雌同径のものもあれば、異径のものもあるのです。
今回使ったのは、雌ねじが1.0mmで雄ねじが0.9mmのものです。

このままでは長いので、写真のようにオリジナルの巻き芯と延長巻き芯の両方とも黄色の位置でカットします。
これは、普通のニッパで簡単に切れます。
ただ、注意しないといけないのが、リューズは巻き芯のねじにねじ込んで固定するのですが、ギュッと締め終わったところがリューズの固定位置になります。
つまり、一杯締めた状態で巻き芯の胴体部分の長さがバッチリ決まらないと、リューズを機械に付けたときにマズイことが起こります。

巻き芯が長いと、リューズを一杯に押し込んでもケースとの間に隙間が残って不細工になります。
一方、巻き芯が短くなるとリューズを押し込もうにもケースに当たって押し込めなくなります。
ですので、巻き芯を切るときは少し長めに切り、リューズを締め込んで長さを確かめながら少しずつ短くしていきます。

1時間程長さ調整をやりましてこのようになりました。

これを取り付けたのが最初の写真です。
これでゼンマイの巻き上げが楽になりますし、見栄えも格段に良くなりました。

機械の方はこれでほぼ完成です。
あとは風防とケースの手入れです。

次回はいよいよ最終回です。

オールド RADO の修理 5

admin   12月 12, 2018   オールド RADO の修理 5 はコメントを受け付けていません。

今回は、やっちまったの巻きです。

部品の清掃が終わって、組み立てを始めました。
リューズの押引機構の部分になり、小さなバネを飛ばさないようにしながら部品を配置しました。
その時に、ついうっかりと下の写真の下段のようにばねを組んだのです。

ここで正解は、上段の写真の状態です。
リューズを押し引きすると、くの字の部品が支点を中心に回転し、先端の小さな突起が動いて、上段写真の位置と赤丸印の位置とを行き来します。
上段写真の位置がゼンマイを巻き上げることができる通常位置で、リューズを引いた赤丸の位置が時間合せの位置です。

このどちらかに組めば良かったのですが・・・・。
このあとリューズを差し込んで動作チェックをしますと、当然、リューズは機能しません。

ここで、一旦、バラすべきだったのですが、突起の位置が違うことに気が付いてしまいました。
それならということで、横着をしまして、下段写真の矢印のように突起を押しながら、ばねの腕を下に広げることにしました。

これが意外と重く、もう少しで突起が腕の先端を乗り越えそうだったので、もう一息ばねの腕を押したとき、「パキッ」という音がして、ばねの先端が顕微鏡の視界から消えました。

?????・・・・・。
やっちまったあ !

写真で見ると、通常の二箇所の位置間を乗り越えるときの山の高さと、ばねの先端の山の高さはそれ程変わりません。
しかし、このほんの僅かな高さが命取りとなりました。
ばねの止めネジを3回転緩めるだけで簡単に修正できたのに。

折れたばねです。

これはどうしようもありません。
ハンダや接着剤で着けるのは無理です。
古い時計なので新品部品は入手不可能でしょう。

ということで、頼みのヤフオクで部品を探してみました。

ブランド時計のジャンルに行き、「RADO ワールドトラベル」で検索してみると、稼働品が幾つか出てきました。
しかし、どれも1万円以上します。
どうもここのところ古いRADOは人気が出ているようです。
それに、稼働品から部品を取るとその時計が動かなくなるので大変気が引けます。

この時計のムーブメントは、今はもうETA社に吸収されましたが、スイス・アドルフシールド社製 Cal.1701ですので、同じ機械を載せている時計を探します。
例えば、RADOのゴールデンホースや、グリーンホースです。
どれも同じ雰囲気の時計ですがゴールデンホースが最も有名でしょうか。

ヤフオクを探しますと、グリーンホースのジャンク品が1,000円で出ていました。
残り時間はあと四日です。
できればそのままで落札したいところですが、幾らになろうが絶対に買わなければなりません。
ドキドキの四日間が過ぎ、なんとか4,000円で落札することができました。
これです。

流石にコンディション悪そうですね。
中を開けてみると、写真ではわかりませんが、あちこち錆びていて、これを復活させるのは厳しそうです。
ムーブメントを止めるネジは二つともありません。

この機械は、金メッキがされておらず通常タイプのものです。
リューズを巻こうとしましたが何かが引っ掛かっていて動きません。

リューズの形はしっかりしているのでこちらの時計に使えるかなと思いましたが、長さが足りません。
同じ機械なのですが、グリーンホースのケースがやや小さいので、リューズから先の巻き芯の長さが短いのです。
それに巻き芯をねじ込むリューズの雌ねじ回りの形も違いました。
残念。
これに時間を掛けるわけにもいかないので、目的のばねを取り出すだけにしました。

ばねは大丈夫でした。
これで、こちらの復旧が進みます。

尚、後日、このグリーンホースは一応ケースだけ磨き直し、折れたばねのことも含めて故障個所を全て明記してヤフオクに再出品しました。
そしたら、買った値段よりも少しだけ高く売れてしまいました。
ほんの時々ですが、こういうラッキーがあるのも時計修理の楽しみの一つです。

次回に続く

オールド RADO の修理 4

admin   12月 9, 2018   オールド RADO の修理 4 はコメントを受け付けていません。

こんにちは
今回は清掃作業について二つ紹介します。

一つ目はゼンマイの清掃です。
ゼンマイは香箱という円筒の箱に入っていまして、10~15巻きほどの渦巻きになっています。
ゼンマイの巻き上げと開放に伴って内外に隣り合う部材が擦れますので、ゼンマイ自体が摩耗し、オイルと混ざり合ってオイルの潤滑がなくなってきます。
ゼンマイの清掃間隔はだいたい五年です。

オイルが切れてくるとゼンマイどうしが滑らず、巻き上げが重くなり、また、巻き上げたゼンマイが最後まで開放されず、途中で秒針が止まってしまいます。
古い時計で、巻き上げが重く、秒針が少し動いては止まるというのは殆どがゼンマイが原因です。

さて、香箱を開けてみました。

当然ですがカラカラに乾いています。
ただ、思ったほど汚れてはいません。
ということは、ゼンマイの摩耗も少ないはずです。
中身を取り出してみました。

香箱のサイズと比べるとゼンマイの長さがわかります。
写真の右側が香箱の中心側に来ます。
ゼンマイの自然形状はト音記号のようになっていまして、中心側は自然状態からわざわざ反対側に曲げ直して渦巻き状にします。

そのため、中心側のゼンマイは大きく曲げられることになります。
説明は少し難しいのですが、ト音記号のようにしておくことで、ゼンマイを多く巻き上げたときも少しだけ巻き上げたときも一定の戻し力が出るようになっています。

リューズを巻き上げると、ゼンマイの中心の軸が右回転し、ゼンマイが巻き上げられて中心側に寄ってきます。
中心軸はその状態で固定されますので、ゼンマイの反対の端が止まっている香箱自体が右に回転してゼンマイを解こうとします。
香箱の外周にはご覧のようにギヤが付いていますので、これが下流の歯車に伝わって各針を回します。

ゼンマイと香箱の中をアルコールで洗浄し、香箱の中に巻き戻します。
プロが使う高価なゼンマイ投入機はないので、素手で巻き込みます。
ゼンマイに折れ目をつけないように注意が必要で、この作業が一番苦手です。

巻き込んだゼンマイの側面に粘度の高いオイルをさし、蓋をパッチン止めします。
側面にオイルを塗っておくと、ゼンマイの巻き上げ開放に連れて隙間に浸み込んでいきます。

次は、軸受ルビーの洗浄・注油です。
これは、時計の心臓部であるテンプの軸受けです。

時計の軸受けには摩擦の少ないルビーを使いますが、オイルを溜める二枚組のルビー軸受と、ただ孔が開いている一枚だけのものとがあります。
テンプの軸受けは、通常、二枚組タイプです。
横の黒いのは髪の毛です。
テンプの軸の太さは髪の毛程度しかありません。

この時計のテンプは一秒間に10往復する高振動タイプなのでテンプをスムースに回転させるにはオイルは特に重要です。
軸受は、この図のようになっています。

二枚のルビーの間隔は真ん中で最も狭くなっていて、ここに注入されたオイルが表面張力で中央の孔に寄ってくるようにしてあります。

このような尖ったオイルさしの先にオイルをちょん付けし、孔が無い方のルビーの中央にそっと盛ります。
そこにもう一方の孔あきルビーを被せます。

注油するオイルの適量は、中のオイルの境界線で見ます。
半径の真ん中で色が変わっていますが、ここがオイルの境界です。
この境界がルビーの半径の半分から三分の二の位置になると適量です。
オイルをさし終えた軸受を地板に戻します。

軸受押えはクワガタの角みたいな形をしていまして弾力があります。
ルビーをセットしたら周囲の壁に押えの端を引っ掛けます。

この押えは、時計が揺れてテンプが軸方向に動き、ルビーが突かれたときに、それを柔らかく受け止める効果があります。
この軸受はテンプの軸の両側にあります。

ここまで清掃・注油が終われば次は組み立てです。
どれくらい歯車がスムースに回ってくれるか楽しみです。

次回に続きます

オールド RADO の修理 3

admin   12月 4, 2018   オールド RADO の修理 3 はコメントを受け付けていません。

地板から全ての部品を取り除きました。
スッピンの地板は簡素ですが、孔や凹凸が美しく作られています。

次は、折れたネジの抜き取りです。
上の写真だと左下の8時のところです。

ネジの頭はほんの僅かだけ飛び出ているだけでつかみ部分がありません。
小さなドライバーを二つ使って、ねじの反対側どうしを回してみましたが動きません。
普通は、ネジの頭が取れるとネジ本体に掛るテンションが抜けて軽く回るのですけど。

念のために潤滑剤を沁み込ませます。

写真ではスプレー缶そのままで行ってますが、これは写真用です。
実際は、白い台の上にちょっとだけ吹いて、それをピンセットの先ですくってネジ孔にさします。

暫くおいたあと、先ほどのドライバー作戦を行いましたが効果なしです。
なかなか手ごわい。
この日はここで諦めました。

次の日、ネジの頭に穴をあけ、マイナスドライバーを噛ます溝を切ってはどうかと考えました。
ヨドバシで0.5mmのドリル刃を買い、ハンドドリルで中央火口をあけました。
さらに両サイドにカッターナイフで溝を切り、マイナスドライバーが入りそうな形に整形しました。
これぐらい小さいとカッターナイフで金属が切れます。

そして回してみましたが、・・・回りません。
そんなに固い?
ゴミや錆が噛んでいるのかもしれませんね。
二日目はここまででした。

三日目、ネットを見ていると、折れたネジ抜き工具として、ネジの両側から挟む小さな万力があることがわかりました。
地板のネジ孔は、殆どが貫通孔で、ネジの両端部が見えているのです。
その工具は、万力の押えの先がギザギザに加工されていて、ピンに噛み込むようになっています。
ただし、1万円弱もするのでちょっと手が出ません。

でもこの方法はきっとgoodです。
それならということで工具を自作することにしました。
大したものではなく、帰りに紀伊国屋で押しピンを買っただけです。

これです。

プライヤの先に押しピンを両面テープで貼りました。
ピンどうしが同芯になるように貼り付けます。
ピンの先端は適当に尖っているだけなので、ペーパーで良さげな形に研いでおきます。

これでネジの両側を挟み、地板の側をゆっくり回しました。
少しだけ抵抗があったあとスカッと回り始めました。
回り出すと結構ユルユルに出てきたので、あとはピンセットで回して抜きました。

今度からはこの作戦が使えます。
もしかすると、潤滑剤も、ネジ頭の加工も不要です。

三日掛かりましたが、気になっていたことが一つ解決しました。
次は、部品の清掃と組立です。

次回に続く

オールド RADO の修理 2

admin   12月 2, 2018   オールド RADO の修理 2 はコメントを受け付けていません。

今回は分解まで進めてみます。

まずは機械をケースから取り出すためにリューズを抜きます。
リューズは、ケース横のリューズ孔を通って機械の中に刺さっていますので、これを抜かないと機械がケースから出てきません。
その前に、後で針を抜き易くするために、時間針・分針・秒針を一直線上に揃えておきます。

棒状の部分を巻き芯といい、リューズの側がネジになっています。
一方のリューズのには雌ねじが切ってあって巻き芯のネジをねじ込んで止めています。
特に力が掛かるのはゼンマイを巻き上げる側、つまり、リューズを右回しする方ですから、リューズはいつもネジに増し締めされますのでリューズが抜けることはありません。

ネジの部分がかなり錆びています。
リューズ孔は汗や湿気が入り易いところですから仕方ありませんね。
また、リューズの外周もかなり摩耗していてゼンマイの巻き上げ時に指が掛りません。
これは交換した方が良いでしょう。

次に機械をケースから外すのですが、機械を固定している二本のネジの片方が折れていました。

ネジの頭が飛んでいて、胴体が地板の中に残っています。
ネジが地板に嚙んでいると抜くのが厄介ですが、なんとかなるでしょう。

取り出した機械から針抜き工具を使って針を抜きます。

ツッパリの足が文字盤に押し付けられますので、文字盤に傷をつけないようにラップを被せ、ラップごと三本の針を一緒に抜きます。
黒い二本の腕の先が鉤形になっていて、三本の針の下をラップごと抱えます。
白いプラスチックに繋がっている円弧状のアームを親指と人差し指で締めると、黒い腕が針を抱えます。同時にプラスチックが黒い腕に対して下にスライドして文字盤を押し、針を持ち上げて抜くことができます。

このように腕時計の針は全て軸に押し込んであるだけです。

機械から文字盤を外し、文字盤側と機械側と順番に分解します。
部品を一つ外す毎に写真を撮っておきます。

まずは、文字盤側から。
こちらはリューズの引き出し機構(右側のグレーの部品達)や三針を止める歯車(中央の二枚のギヤとその中心の秒針軸)などがあります。

次は機械側。
こちらには、ゼンマイの動力を三針に伝える歯車達がいます。
三針を動かす基本構造はどの時計も同じです。

銀色の大きな丸いのがゼンマイを入れてある香箱(こうばこ)です。
中央の歯車が秒針歯車で、真ん中の細い軸が地板の向こう側まで貫通しており、そこに秒針が差し込まれます。

こんな感じで、分解はスムーズに終わりました。
分解し終えた結果ですが、通常のメンテ作業に加えて次の作業が必要そうです。

1.折れた固定ネジの抜き取り
2.リューズの交換
3.風防の磨きもしくは交換

次回は、折れた固定ネジを抜いてみます。

オールド RADO の修理 1

admin   11月 30, 2018   オールド RADO の修理 1 はコメントを受け付けていません。

こんにちは。
RADOクォーツの修理が終わったばかりですが、次は同じRADOの機械式です。

前回のAさんとの飲み会の席に別の弁理士Bさんも居られまして、
「実は私も持ってきたんです」
と言って出されたのがこれでした。

1960年代の「ワールド トラベル 57石」です。
Bさんのお父さんが若い頃にボーナスをはたいて買ったのだそうです。
今は放置されていて、もし動かなかったら捨ててしまうかもしれないとのことです。
それは勿体ない。

時計を軽く振ると秒針がトコトコと動いて止まります。
テンプは生きているようです。
リューズを引いて時間合せもできます。
ただ、ゼンマイを巻き上げるのは、ゼンマイが汚れで固着していて切れると困るので止めました。

この時代の高級時計によくあるスタイルですが、ケースの表面は20μmの金膜貼りです。
ただし、くすみがひどく、使い込まれた五円玉のような色です。

風防はプラスチック製で、カレンダーレンズが内側に膨らんでいるタイプです。
飛び出したレンズだと、不意に何かにぶつけてレンズの真中に傷が付くことが多いのですが、これだとその心配はありません。

風防表面は、枯れた池の底のようにひび割れがひどく、斜めから見ると文字盤がよく見えません。
周囲のあちこちに緑色の汚れも沢山ついています。

文字盤はかなりヤレています。
印字の剥がれこそありませんが、コーティングの所々に斑点状のシミがあります。
業者に依頼して完全に書き換えるという手もありますが、このまま歴史を残しながら使うのも良いかと思います。
単なる趣味の範囲では、文字盤の修復はどうにもなりません。

外見はこんな感じですが、経験上、秒針が動く機械式時計は十分に復活の可能性があります。

「これはなかなか古いRADOですねえ。
表面はくすんでますけど、金貼りだから磨けば綺麗になると思いますよ。
ルビーが57個も使われていて、かなり豪華な機械が入っていそうですね。
どこまで直るかわかりませんが一度あけてみます」

ということで、興味大津々で持ち帰ったのでした。

早速、中を開けてみました。

なんと、自動巻きです。
盛大に汚れています。
過去最大級レベル。
でも、汚れているほどビフォーアフターの差がハッキリして実は嬉しかったりします。

自動巻ユニットの歯車の円盤部分にはルビーがしっかりと散り嵌められていて高級機であることがわかります。
これは、歯車が回るときに横の壁や隣の歯車と当たることを想定して滑り部材の役目をします。
でも実際の目的は装飾かな。

また、機械の殆どが金メッキ仕上げです。
通常モデルでは金メッキがなく素材ままの銀色です。
扇形のロータの屋根角は、時計が強く振られたときにケースの裏蓋に当たることもあるのか少し色が剥げています。

自動巻きローターの軸は、ぐるぐる回る重いローターをこの軸だけで支えるためガタが出易い部分です。
しかし、この機械では皆無でした。
汚れてはいますが丁寧に使われていたことがわかります。
そういえば、風防の表面も、ひび割れこそありますが大きな打ち傷は一つもありません。

汚れているけど機械のコンディションは上々と感じました。

さて、修理の手順ですが、主には
1.機械の分解・清掃・注油・組み立て・テンプの歩度調整
2.風防研磨あるいは交換
3.ケースの清掃・磨き
です。

どこまで復活して綺麗になるかかなり楽しみです。

次回に続く

RADO クォーツ時計の修理 5(最終)

admin   11月 20, 2018   RADO クォーツ時計の修理 5(最終) はコメントを受け付けていません。

いよいよ最終回です。

山崎:

おはようございます。
出張に行っていたりと少し休憩していましたが、昨日、完成しました。
クォーツの精度が心配でしたが、昨晩から今まで誤差なく動いています。
機械とケースの間に入れるパッキンを再利用しようとしましたが、変形が激しく元の位置に収まらないので諦めました。

この時計の構造上、パッキンがなくても機械がケースの中で動くことはありません。
耐水性を少しでも高めるために、写真にあるように木工ボンドを塗ってあります。

木工ボンドの内周側は土手になっていて、文字盤はその土手の上に位置しているので、ボンドが機械の側に回ることはありません。
また、リューズの近辺には塗ってないので、リューズの動きが悪くなることもありません。
ただし、リューズの辺りは、その分、水が入り易いです。

それと、文字盤の四隅が曲がっている原因がなんとなくわかりました。
この時計を組むときに、
上の写真のように裏ケースに機械を固定する →
裏ケースに電池交換用の丸い裏蓋(修理1の写真)をパッチンどめする →
裏ケースを表ケースにパッチンどめする
という流れになります。

これは、裏ケースを表ケースに押し込むときに、裏ケースの全体を指で押したいので、まず電池交換用の裏蓋を裏ケースに嵌める方がやり易いのです。
ところが、上の写真の状態のケースに裏蓋を嵌めようとするときにも、そこそこの力が必要です。
このとき、指でケースの枠だけを押さえようとしても、文字盤の縁に指が掛ってしまうのです。
そのため四隅がダレてしまったと思われます。
なので、木工ボンドを塗った縁のところだけを押す冶具などを使い、裏ケースを裏蓋に押し付ける というのが正解だと思います。

または、比較的安全な方法は、
上の写真のように裏ケースに機械を固定する →
表ケースをガラスを下にして置き、これに裏ケースを位置決めし、さらに、裏蓋を裏ケースに位置決めする →
裏蓋と裏ケースの全体を指で押しながら表ケースに押しつける →
裏ケースか裏蓋かのどちらかが先に嵌まるので、もう少し力を入れて残った方を嵌める
というものです。
おそらく、以前の電池交換時に、裏蓋ではなく裏ケースを開けてしまったのが原因のようですね。

それから、ベルトもクリーニングしておきました。

上がビフォー、下がアフターです。
繋ぎ目に結構な汚れが溜まっていました。
台所のマジックリンに暫くつけて、ブラシで擦ると大体の汚れは落ちます。
世間にはいろいろな専用洗剤がありますが、マジックリン最強です。

ということで完成です。

写真では文字盤の1時と8時のあたりに汚れがハッキリ見えますが、実際には注意して見ないとわからない程度です。
それと何といってもハードメタル製ケースの頑丈さは完璧です。
30年以上経っているのに実体顕微鏡で見てもスリ傷一つありませんでした。

それにしても復活して良かったです。
クォーツは手に負えないと思っていましたが、普通の金属ギヤを使った昔のムーブメントだったのが幸いしました。

Aさん:

おはようございます。
時計の修理有難うございました。
クオーツは電子回路だから、修理というよりユニット交換しかないだろうと思ってました。
復活して本当によかったです。

以上、RADOクォーツの修理顛末です。
いつも思いますのは、修理のポイントは、文字盤とパッキンと風防でしょうか。
特に風防が綺麗な時計は中もだいたい綺麗です。
文字盤など中に密閉されていて劣化程度に差が無いように思いますが、不思議なことに外観と連動するみたいです。

Aさんは、大手機械メーカー出身の弁理士です。
時計の分解一度やってみませんかと勧めていて、ご本人もまんざらではないような。

山崎

RADO クォーツ時計の修理 4

admin   11月 19, 2018   RADO クォーツ時計の修理 4 はコメントを受け付けていません。

続きです。

山崎:

おはようございます。
ケースのクリーニングやってみました。
油と錆の混じったものが取れるとスッキリしました。

写真だと細かな傷等が目立ちますので、あと少しペーパーを掛ける予定です。
パッキンは写っていませんが、できるだけ汚れを落として再セットします。

それにしても、表ケースは傷がなく綺麗ですね。
チタンか何かでしょうか。

 Aさん:

おはようございます。
最初のゴミや汚れにまみれていたものから大変身ですね。
こんなに早く進めていただいて有難うございます。

注)
少しだけ調べましたら、RADOのケースは、1962年に、当時工具として使用されていた「ハードメタル」を時計の素材として使ったのだそうです。
タングステンカーバイド WC とか、コバルト Co が多く含まれているのでしょう。
モース硬度は8だとか。
因みにダイヤモンドはモース硬度10、ステンレスは4~5です。
普通の時計はステンレスが多いですからメチャクチャ硬いですね。
どうりで全く傷がないわけです。

次回は最終回です。

山崎

RADO クォーツ時計の修理 3

admin   11月 18, 2018   RADO クォーツ時計の修理 3 はコメントを受け付けていません。

続きです。

山崎:

電池を入れてみたらちゃんと動きましたので、ギヤなど各部を分解・掃除して組み直しました。
この時代のクォーツは、ギヤが機械式と同じような大きさの金属ギヤなので良かったです。

基板の全体に油汚れが膜になっていたので、アルコールをつけてつまようじで磨きました。
押さえ板は茶色の部分が錆だったのでペーパーで研磨しました。

押さえ板のネジの頭の一部も錆びていたので、同じようにペーパーで取りました。
リューズ操作の金属どうしが摺れるところには専用のグリスをさしてあります。
といっても、注油面積が小さいので、針の先に付けてチョンと触れるだけで十分なのですが。

これでおそらく復活すると思います。
日付リングの汚れだけが残念ですねー。

Aさん:

おはようございます。
ここまで分解できるのですか!
新品になったみたいです。
有難うございます。
ところで、あの潰れていたパッキンはどうするのですか?
再利用は難しそうだし、ボンドですか?
ボンドにすると、今後開けられないのですか?

山崎:

パッキンですが、つま楊枝などでできるだけ所定の位置に押し込んで再利用します。
当然、部分的に隙間が残りますので、ボンドで助ける感じです。
図の様になります。

木工ボンドはほんの少し付けるだけですし、構造上、機械の側には回りません。
金属に対して接着性はなく、固まっても少しだけ弾性がありますので、目止めとして利用できるのではないかと思います。
次回、分解したときにも、つまようじで突けばすぐに剥がれます。

Aさん:

図まで付けていただいてよく分かりました。
よろしくお願いします。

次回に続く