オールド RADO の修理 4

admin   12月 9, 2018   オールド RADO の修理 4 はコメントを受け付けていません。

こんにちは
今回は清掃作業について二つ紹介します。

一つ目はゼンマイの清掃です。
ゼンマイは香箱という円筒の箱に入っていまして、10~15巻きほどの渦巻きになっています。
ゼンマイの巻き上げと開放に伴って内外に隣り合う部材が擦れますので、ゼンマイ自体が摩耗し、オイルと混ざり合ってオイルの潤滑がなくなってきます。
ゼンマイの清掃間隔はだいたい五年です。

オイルが切れてくるとゼンマイどうしが滑らず、巻き上げが重くなり、また、巻き上げたゼンマイが最後まで開放されず、途中で秒針が止まってしまいます。
古い時計で、巻き上げが重く、秒針が少し動いては止まるというのは殆どがゼンマイが原因です。

さて、香箱を開けてみました。

当然ですがカラカラに乾いています。
ただ、思ったほど汚れてはいません。
ということは、ゼンマイの摩耗も少ないはずです。
中身を取り出してみました。

香箱のサイズと比べるとゼンマイの長さがわかります。
写真の右側が香箱の中心側に来ます。
ゼンマイの自然形状はト音記号のようになっていまして、中心側は自然状態からわざわざ反対側に曲げ直して渦巻き状にします。

そのため、中心側のゼンマイは大きく曲げられることになります。
説明は少し難しいのですが、ト音記号のようにしておくことで、ゼンマイを多く巻き上げたときも少しだけ巻き上げたときも一定の戻し力が出るようになっています。

リューズを巻き上げると、ゼンマイの中心の軸が右回転し、ゼンマイが巻き上げられて中心側に寄ってきます。
中心軸はその状態で固定されますので、ゼンマイの反対の端が止まっている香箱自体が右に回転してゼンマイを解こうとします。
香箱の外周にはご覧のようにギヤが付いていますので、これが下流の歯車に伝わって各針を回します。

ゼンマイと香箱の中をアルコールで洗浄し、香箱の中に巻き戻します。
プロが使う高価なゼンマイ投入機はないので、素手で巻き込みます。
ゼンマイに折れ目をつけないように注意が必要で、この作業が一番苦手です。

巻き込んだゼンマイの側面に粘度の高いオイルをさし、蓋をパッチン止めします。
側面にオイルを塗っておくと、ゼンマイの巻き上げ開放に連れて隙間に浸み込んでいきます。

次は、軸受ルビーの洗浄・注油です。
これは、時計の心臓部であるテンプの軸受けです。

時計の軸受けには摩擦の少ないルビーを使いますが、オイルを溜める二枚組のルビー軸受と、ただ孔が開いている一枚だけのものとがあります。
テンプの軸受けは、通常、二枚組タイプです。
横の黒いのは髪の毛です。
テンプの軸の太さは髪の毛程度しかありません。

この時計のテンプは一秒間に10往復する高振動タイプなのでテンプをスムースに回転させるにはオイルは特に重要です。
軸受は、この図のようになっています。

二枚のルビーの間隔は真ん中で最も狭くなっていて、ここに注入されたオイルが表面張力で中央の孔に寄ってくるようにしてあります。

このような尖ったオイルさしの先にオイルをちょん付けし、孔が無い方のルビーの中央にそっと盛ります。
そこにもう一方の孔あきルビーを被せます。

注油するオイルの適量は、中のオイルの境界線で見ます。
半径の真ん中で色が変わっていますが、ここがオイルの境界です。
この境界がルビーの半径の半分から三分の二の位置になると適量です。
オイルをさし終えた軸受を地板に戻します。

軸受押えはクワガタの角みたいな形をしていまして弾力があります。
ルビーをセットしたら周囲の壁に押えの端を引っ掛けます。

この押えは、時計が揺れてテンプが軸方向に動き、ルビーが突かれたときに、それを柔らかく受け止める効果があります。
この軸受はテンプの軸の両側にあります。

ここまで清掃・注油が終われば次は組み立てです。
どれくらい歯車がスムースに回ってくれるか楽しみです。

次回に続きます

オールド RADO の修理 3

admin   12月 4, 2018   オールド RADO の修理 3 はコメントを受け付けていません。

地板から全ての部品を取り除きました。
スッピンの地板は簡素ですが、孔や凹凸が美しく作られています。

次は、折れたネジの抜き取りです。
上の写真だと左下の8時のところです。

ネジの頭はほんの僅かだけ飛び出ているだけでつかみ部分がありません。
小さなドライバーを二つ使って、ねじの反対側どうしを回してみましたが動きません。
普通は、ネジの頭が取れるとネジ本体に掛るテンションが抜けて軽く回るのですけど。

念のために潤滑剤を沁み込ませます。

写真ではスプレー缶そのままで行ってますが、これは写真用です。
実際は、白い台の上にちょっとだけ吹いて、それをピンセットの先ですくってネジ孔にさします。

暫くおいたあと、先ほどのドライバー作戦を行いましたが効果なしです。
なかなか手ごわい。
この日はここで諦めました。

次の日、ネジの頭に穴をあけ、マイナスドライバーを噛ます溝を切ってはどうかと考えました。
ヨドバシで0.5mmのドリル刃を買い、ハンドドリルで中央火口をあけました。
さらに両サイドにカッターナイフで溝を切り、マイナスドライバーが入りそうな形に整形しました。
これぐらい小さいとカッターナイフで金属が切れます。

そして回してみましたが、・・・回りません。
そんなに固い?
ゴミや錆が噛んでいるのかもしれませんね。
二日目はここまででした。

三日目、ネットを見ていると、折れたネジ抜き工具として、ネジの両側から挟む小さな万力があることがわかりました。
地板のネジ孔は、殆どが貫通孔で、ネジの両端部が見えているのです。
その工具は、万力の押えの先がギザギザに加工されていて、ピンに噛み込むようになっています。
ただし、1万円弱もするのでちょっと手が出ません。

でもこの方法はきっとgoodです。
それならということで工具を自作することにしました。
大したものではなく、帰りに紀伊国屋で押しピンを買っただけです。

これです。

プライヤの先に押しピンを両面テープで貼りました。
ピンどうしが同芯になるように貼り付けます。
ピンの先端は適当に尖っているだけなので、ペーパーで良さげな形に研いでおきます。

これでネジの両側を挟み、地板の側をゆっくり回しました。
少しだけ抵抗があったあとスカッと回り始めました。
回り出すと結構ユルユルに出てきたので、あとはピンセットで回して抜きました。

今度からはこの作戦が使えます。
もしかすると、潤滑剤も、ネジ頭の加工も不要です。

三日掛かりましたが、気になっていたことが一つ解決しました。
次は、部品の清掃と組立です。

次回に続く

オールド RADO の修理 2

admin   12月 2, 2018   オールド RADO の修理 2 はコメントを受け付けていません。

今回は分解まで進めてみます。

まずは機械をケースから取り出すためにリューズを抜きます。
リューズは、ケース横のリューズ孔を通って機械の中に刺さっていますので、これを抜かないと機械がケースから出てきません。
その前に、後で針を抜き易くするために、時間針・分針・秒針を一直線上に揃えておきます。

棒状の部分を巻き芯といい、リューズの側がネジになっています。
一方のリューズのには雌ねじが切ってあって巻き芯のネジをねじ込んで止めています。
特に力が掛かるのはゼンマイを巻き上げる側、つまり、リューズを右回しする方ですから、リューズはいつもネジに増し締めされますのでリューズが抜けることはありません。

ネジの部分がかなり錆びています。
リューズ孔は汗や湿気が入り易いところですから仕方ありませんね。
また、リューズの外周もかなり摩耗していてゼンマイの巻き上げ時に指が掛りません。
これは交換した方が良いでしょう。

次に機械をケースから外すのですが、機械を固定している二本のネジの片方が折れていました。

ネジの頭が飛んでいて、胴体が地板の中に残っています。
ネジが地板に嚙んでいると抜くのが厄介ですが、なんとかなるでしょう。

取り出した機械から針抜き工具を使って針を抜きます。

ツッパリの足が文字盤に押し付けられますので、文字盤に傷をつけないようにラップを被せ、ラップごと三本の針を一緒に抜きます。
黒い二本の腕の先が鉤形になっていて、三本の針の下をラップごと抱えます。
白いプラスチックに繋がっている円弧状のアームを親指と人差し指で締めると、黒い腕が針を抱えます。同時にプラスチックが黒い腕に対して下にスライドして文字盤を押し、針を持ち上げて抜くことができます。

このように腕時計の針は全て軸に押し込んであるだけです。

機械から文字盤を外し、文字盤側と機械側と順番に分解します。
部品を一つ外す毎に写真を撮っておきます。

まずは、文字盤側から。
こちらはリューズの引き出し機構(右側のグレーの部品達)や三針を止める歯車(中央の二枚のギヤとその中心の秒針軸)などがあります。

次は機械側。
こちらには、ゼンマイの動力を三針に伝える歯車達がいます。
三針を動かす基本構造はどの時計も同じです。

銀色の大きな丸いのがゼンマイを入れてある香箱(こうばこ)です。
中央の歯車が秒針歯車で、真ん中の細い軸が地板の向こう側まで貫通しており、そこに秒針が差し込まれます。

こんな感じで、分解はスムーズに終わりました。
分解し終えた結果ですが、通常のメンテ作業に加えて次の作業が必要そうです。

1.折れた固定ネジの抜き取り
2.リューズの交換
3.風防の磨きもしくは交換

次回は、折れた固定ネジを抜いてみます。

オールド RADO の修理 1

admin   11月 30, 2018   オールド RADO の修理 1 はコメントを受け付けていません。

こんにちは。
RADOクォーツの修理が終わったばかりですが、次は同じRADOの機械式です。

前回のAさんとの飲み会の席に別の弁理士Bさんも居られまして、
「実は私も持ってきたんです」
と言って出されたのがこれでした。

1960年代の「ワールド トラベル 57石」です。
Bさんのお父さんが若い頃にボーナスをはたいて買ったのだそうです。
今は放置されていて、もし動かなかったら捨ててしまうかもしれないとのことです。
それは勿体ない。

時計を軽く振ると秒針がトコトコと動いて止まります。
テンプは生きているようです。
リューズを引いて時間合せもできます。
ただ、ゼンマイを巻き上げるのは、ゼンマイが汚れで固着していて切れると困るので止めました。

この時代の高級時計によくあるスタイルですが、ケースの表面は20μmの金膜貼りです。
ただし、くすみがひどく、使い込まれた五円玉のような色です。

風防はプラスチック製で、カレンダーレンズが内側に膨らんでいるタイプです。
飛び出したレンズだと、不意に何かにぶつけてレンズの真中に傷が付くことが多いのですが、これだとその心配はありません。

風防表面は、枯れた池の底のようにひび割れがひどく、斜めから見ると文字盤がよく見えません。
周囲のあちこちに緑色の汚れも沢山ついています。

文字盤はかなりヤレています。
印字の剥がれこそありませんが、コーティングの所々に斑点状のシミがあります。
業者に依頼して完全に書き換えるという手もありますが、このまま歴史を残しながら使うのも良いかと思います。
単なる趣味の範囲では、文字盤の修復はどうにもなりません。

外見はこんな感じですが、経験上、秒針が動く機械式時計は十分に復活の可能性があります。

「これはなかなか古いRADOですねえ。
表面はくすんでますけど、金貼りだから磨けば綺麗になると思いますよ。
ルビーが57個も使われていて、かなり豪華な機械が入っていそうですね。
どこまで直るかわかりませんが一度あけてみます」

ということで、興味大津々で持ち帰ったのでした。

早速、中を開けてみました。

なんと、自動巻きです。
盛大に汚れています。
過去最大級レベル。
でも、汚れているほどビフォーアフターの差がハッキリして実は嬉しかったりします。

自動巻ユニットの歯車の円盤部分にはルビーがしっかりと散り嵌められていて高級機であることがわかります。
これは、歯車が回るときに横の壁や隣の歯車と当たることを想定して滑り部材の役目をします。
でも実際の目的は装飾かな。

また、機械の殆どが金メッキ仕上げです。
通常モデルでは金メッキがなく素材ままの銀色です。
扇形のロータの屋根角は、時計が強く振られたときにケースの裏蓋に当たることもあるのか少し色が剥げています。

自動巻きローターの軸は、ぐるぐる回る重いローターをこの軸だけで支えるためガタが出易い部分です。
しかし、この機械では皆無でした。
汚れてはいますが丁寧に使われていたことがわかります。
そういえば、風防の表面も、ひび割れこそありますが大きな打ち傷は一つもありません。

汚れているけど機械のコンディションは上々と感じました。

さて、修理の手順ですが、主には
1.機械の分解・清掃・注油・組み立て・テンプの歩度調整
2.風防研磨あるいは交換
3.ケースの清掃・磨き
です。

どこまで復活して綺麗になるかかなり楽しみです。

次回に続く

RADO クォーツ時計の修理 5(最終)

admin   11月 20, 2018   RADO クォーツ時計の修理 5(最終) はコメントを受け付けていません。

いよいよ最終回です。

山崎:

おはようございます。
出張に行っていたりと少し休憩していましたが、昨日、完成しました。
クォーツの精度が心配でしたが、昨晩から今まで誤差なく動いています。
機械とケースの間に入れるパッキンを再利用しようとしましたが、変形が激しく元の位置に収まらないので諦めました。

この時計の構造上、パッキンがなくても機械がケースの中で動くことはありません。
耐水性を少しでも高めるために、写真にあるように木工ボンドを塗ってあります。

木工ボンドの内周側は土手になっていて、文字盤はその土手の上に位置しているので、ボンドが機械の側に回ることはありません。
また、リューズの近辺には塗ってないので、リューズの動きが悪くなることもありません。
ただし、リューズの辺りは、その分、水が入り易いです。

それと、文字盤の四隅が曲がっている原因がなんとなくわかりました。
この時計を組むときに、
上の写真のように裏ケースに機械を固定する →
裏ケースに電池交換用の丸い裏蓋(修理1の写真)をパッチンどめする →
裏ケースを表ケースにパッチンどめする
という流れになります。

これは、裏ケースを表ケースに押し込むときに、裏ケースの全体を指で押したいので、まず電池交換用の裏蓋を裏ケースに嵌める方がやり易いのです。
ところが、上の写真の状態のケースに裏蓋を嵌めようとするときにも、そこそこの力が必要です。
このとき、指でケースの枠だけを押さえようとしても、文字盤の縁に指が掛ってしまうのです。
そのため四隅がダレてしまったと思われます。
なので、木工ボンドを塗った縁のところだけを押す冶具などを使い、裏ケースを裏蓋に押し付ける というのが正解だと思います。

または、比較的安全な方法は、
上の写真のように裏ケースに機械を固定する →
表ケースをガラスを下にして置き、これに裏ケースを位置決めし、さらに、裏蓋を裏ケースに位置決めする →
裏蓋と裏ケースの全体を指で押しながら表ケースに押しつける →
裏ケースか裏蓋かのどちらかが先に嵌まるので、もう少し力を入れて残った方を嵌める
というものです。
おそらく、以前の電池交換時に、裏蓋ではなく裏ケースを開けてしまったのが原因のようですね。

それから、ベルトもクリーニングしておきました。

上がビフォー、下がアフターです。
繋ぎ目に結構な汚れが溜まっていました。
台所のマジックリンに暫くつけて、ブラシで擦ると大体の汚れは落ちます。
世間にはいろいろな専用洗剤がありますが、マジックリン最強です。

ということで完成です。

写真では文字盤の1時と8時のあたりに汚れがハッキリ見えますが、実際には注意して見ないとわからない程度です。
それと何といってもハードメタル製ケースの頑丈さは完璧です。
30年以上経っているのに実体顕微鏡で見てもスリ傷一つありませんでした。

それにしても復活して良かったです。
クォーツは手に負えないと思っていましたが、普通の金属ギヤを使った昔のムーブメントだったのが幸いしました。

Aさん:

おはようございます。
時計の修理有難うございました。
クオーツは電子回路だから、修理というよりユニット交換しかないだろうと思ってました。
復活して本当によかったです。

以上、RADOクォーツの修理顛末です。
いつも思いますのは、修理のポイントは、文字盤とパッキンと風防でしょうか。
特に風防が綺麗な時計は中もだいたい綺麗です。
文字盤など中に密閉されていて劣化程度に差が無いように思いますが、不思議なことに外観と連動するみたいです。

Aさんは、大手機械メーカー出身の弁理士です。
時計の分解一度やってみませんかと勧めていて、ご本人もまんざらではないような。

山崎

RADO クォーツ時計の修理 4

admin   11月 19, 2018   RADO クォーツ時計の修理 4 はコメントを受け付けていません。

続きです。

山崎:

おはようございます。
ケースのクリーニングやってみました。
油と錆の混じったものが取れるとスッキリしました。

写真だと細かな傷等が目立ちますので、あと少しペーパーを掛ける予定です。
パッキンは写っていませんが、できるだけ汚れを落として再セットします。

それにしても、表ケースは傷がなく綺麗ですね。
チタンか何かでしょうか。

 Aさん:

おはようございます。
最初のゴミや汚れにまみれていたものから大変身ですね。
こんなに早く進めていただいて有難うございます。

注)
少しだけ調べましたら、RADOのケースは、1962年に、当時工具として使用されていた「ハードメタル」を時計の素材として使ったのだそうです。
タングステンカーバイド WC とか、コバルト Co が多く含まれているのでしょう。
モース硬度は8だとか。
因みにダイヤモンドはモース硬度10、ステンレスは4~5です。
普通の時計はステンレスが多いですからメチャクチャ硬いですね。
どうりで全く傷がないわけです。

次回は最終回です。

山崎

RADO クォーツ時計の修理 3

admin   11月 18, 2018   RADO クォーツ時計の修理 3 はコメントを受け付けていません。

続きです。

山崎:

電池を入れてみたらちゃんと動きましたので、ギヤなど各部を分解・掃除して組み直しました。
この時代のクォーツは、ギヤが機械式と同じような大きさの金属ギヤなので良かったです。

基板の全体に油汚れが膜になっていたので、アルコールをつけてつまようじで磨きました。
押さえ板は茶色の部分が錆だったのでペーパーで研磨しました。

押さえ板のネジの頭の一部も錆びていたので、同じようにペーパーで取りました。
リューズ操作の金属どうしが摺れるところには専用のグリスをさしてあります。
といっても、注油面積が小さいので、針の先に付けてチョンと触れるだけで十分なのですが。

これでおそらく復活すると思います。
日付リングの汚れだけが残念ですねー。

Aさん:

おはようございます。
ここまで分解できるのですか!
新品になったみたいです。
有難うございます。
ところで、あの潰れていたパッキンはどうするのですか?
再利用は難しそうだし、ボンドですか?
ボンドにすると、今後開けられないのですか?

山崎:

パッキンですが、つま楊枝などでできるだけ所定の位置に押し込んで再利用します。
当然、部分的に隙間が残りますので、ボンドで助ける感じです。
図の様になります。

木工ボンドはほんの少し付けるだけですし、構造上、機械の側には回りません。
金属に対して接着性はなく、固まっても少しだけ弾性がありますので、目止めとして利用できるのではないかと思います。
次回、分解したときにも、つまようじで突けばすぐに剥がれます。

Aさん:

図まで付けていただいてよく分かりました。
よろしくお願いします。

次回に続く

RADO クォーツ時計の修理 2

admin   11月 17, 2018   RADO クォーツ時計の修理 2 はコメントを受け付けていません。

山崎:

おじゃまします。
もう少し分解しました。
文字盤:光の具合でわかりますが、8時の角と4時の角が少し下方に曲がっています。
ケースに入れる時に押したのかもしれません。

文字盤の裏も汚れが回っていて赤く変色していました。
これは錆びではなく、機械油や人の汗の汚れです。
ちょうどリューズの位置から入った汚れがこのようになったみたいです。
やはり気密性が少しダメになっていたのでしょうね。

止まりの一番の原因はこの汚れと思われます。
このために日付リングが回らなくなって時計が止まった可能性があります。
日付けリングの内側に小さなギザギザが付いてますが、ここを押え板が押えています。
周方向に3箇所で押えます。
このギザギザが赤くなっていますので、動いていた時に、押え板の汚れを擦りながら回っていたのでしょう。
日付リングの押え板を外してみると裏側が盛大に赤くなっていました。
リューズの位置です。

押え板は単なる金属板ですので磨けば簡単に綺麗になります。
日付リングの20~22の汚れは取れるかどうかわかりません。
端の方で試してみて、汚れが取れそうならクリーニングしてみます。
ただし、そのほかのギヤは軽く回りますので、この部分を掃除すれば可能性があります。
動くと良いのですが。

Aさん:

押え板というのは、右に外した部品のことですか?
この部品の錆(汚れ)がひどいですが、その奥にあるギヤなどのダメージは少なそうですね。
ここまで分解すると、割とシンプルにみえますね。
通常は、どのねじを外せばよいか分からないので、時計というものは精密で素人が手を出しにくいと感じますが、理屈が分かると面白いですね。
押え板がきれいになったら動きそうな気がします。
楽しみです。よろしくお願いします。

山崎:

それが押え板です。
また、写真の各歯車は、手前に引けば全て抜けます。
この押さえ板で、日付リングも各ギヤも押さえています。

今日、新しい電池を入れてみます。
もし、ギヤの停止が原因でクォーツに無理が掛り回路が壊れていなければ、負荷がない状態でクォーツが動くと思いますので、ギヤの掃除で直るかと思います。
ただ、日付リングの20~22の汚れは、端の方をアルコールで拭いてみましたが、文字盤の塗料も落ちそうなので手が出せません。
これは現状維持とするしか仕方がありません。
やろうと思えば、同じ機械が別のメーカーの時計にも沢山使われていると思いますので、そのようなジャンク時計をヤフオクで探して日付リングだけ使うという手はありますが。

Aさん:

日付リングは仕方ないですね。
20~22だけが変色ということは、その位置で長いこと止まったまま放置していたためでしょうね。
もし順調に動けば、周期的に赤い文字盤が現れるのですが、それも一つの個性で面白いです。
現状維持でお願いします。

山崎:
機械を開けてみると、現代の国産クォーツに使われているような超小型プラスチックギヤは一つもなく、従来からの金属ギヤばかりでした。
これだと、組立時に部品を壊す可能性が低くなるので安心です。

次回に続く

RADO クォーツ時計の修理 1

admin   11月 16, 2018   RADO クォーツ時計の修理 1 はコメントを受け付けていません。

お久しぶりです。
先日、弁理士の何人かと飲み会がありました。
その場で、Aさんが、
「これ古い時計なんですが随分前から止まっています。動きますかねえ?」
と言いつつ時計を取り出しました。

見ますとRADOのクォーツです。

「おー、RADOですね」
暫く眺めて
「クォーーツ・で・す・かあ」

結婚当時に購入されたものだそうで、30年以上も前のものです。
クォーツは、以前に SEIKO のクロノグラフを修理したことがあるのですが、組み立てるときに小さなプラスチック製歯車の細い軸を何本も追ってしまい、同じ中古の時計をヤフオクで2個買い足した経験があります。

A :「動かなくてもいいので、ダメもとでみてもらえます?」
山崎:「りょうかいしました。中がどんな状態かわかりませんが、一度開けてみます」

ということで、RADOの修理が始まりました。
以下、Aさんとのやり取りを紹介します。

以下、山崎

A さん、おはようございます。
早速、時計の裏蓋をあけてみました。
外見よりもかなりヤレているという感じです。

写真で見ると汚れが強調されます。

時計本体は裏蓋に止めてあって、裏蓋と一緒にケースにパッチンどめします。
裏蓋の周囲に、時計本体を収める壁があって、この壁がケース内面に嵌め込まれ、壁の先端がクリーム色のパッキンを押し込み方向に押し付けます。
ただし、パッキンが正規ポジションになく部分的に変形していて、これまで気密性が少し甘くなっていたようです。

パッチン止めで気密性を保つのは元々かなり難しいです。
文字盤は、1時、8時辺りの腐食が進んでいます。
これは表面の汚れではなく、塗装の下からの腐食ですので何もできません。
費用を掛ければ文字盤の塗り替えもできますが、ムーブが復活したとしてその後どうするかですね。

ムーブメントですが、どのようなギアが入っているかまではまだ分解していません。
クォーツは、磁石付きのギアをモータで駆動し、幾つかのギアを介して針を回します。
磁石付きのギアは凄く小さいのでこの軸が固着することはあまりないと思います。
おそらく、その先の大きなギヤの軸などが汚れているのでしょう。
この汚れ具合ですと、内部に進入した水分などが軸の隙間に入って汚れと混ざったのではないでしょうか。

電池は、SR41SW で、通常のものです。
歯車の調子が良さそうなら電池を入れ替えてみても良いのではないでしょうか。

この機械で一番の気がかりはパッキンですね。
これの交換部品はもうないと思われますので、再利用するしかありません。
気密性は無いと思います。
因みに、同じ文字盤の時計はヤフオクではみつかりませんでした。
同じムーブを搭載した時計はビンテージウォッチとしていくつかありますが、動きそうなものは1万円前後します。
取り敢えず、ギア周りをもう少しみてみます。

A  さんより

早速ご連絡いただき有難うございます。
それにしても、内部はひどい状態ですね。
1時あたりのくすみは、ガラスに汚れが付いているものと思ってましたが、文字盤の腐食だったのですね。
8時あたりはもっと酷いですね。

それにしてもパッキンの変形が大きいですね。
変形しているところと腐食しているところも大体合ってるし、今まで電池交換などを頼んだときに変形したのでしょうね。
もったいないことをしました。

この前お話ししましたように、一度は動かないと言って修理に出したのに、そのときは何のコメントもなかったと思います。
きちんと見てくれてたのかなあ?
ギア回りも見ていただけるとのことですが、かなり損傷も進んでいるようですし、無理のない範囲でよろしくお願いします。

山崎回答

電池交換は、写真の2枚目にあるように裏蓋にもう一つ丸い蓋が付いていて、本来はこちらを外します。
ただし、私も間違えたのですが、ムーブの下に見える大きな爪の方が目立つもので、これをあけてしまいました。
これを開けると、ケースからムーブが外れますが、電池は見えません。
前回の電池交換の時にも、おそらくこちらを開け、パッキンが変形したのではないでしょうか。

電池の裏蓋に11 4 とありますが、前回の交換時期は、2011年4月でしょうか。
仮にパッキンがアウトでも、ムーブが裏蓋に固定されているので、このパッキンがムーブのガタつきまで抑えているわけではなさそうです。

なんとなれば、裏蓋とケースの合わせ面に木工ボンドを塗っておけば、少しはシール性が出ますし、ムーブのガタつきも抑えられるかもしれません。
リューズの部分だけ塗るのをやめておけば、仮にボンドが多くても時計の外周側に溢れるので問題なさそうです。

文字盤は、コレクターの中にはオリジナル優先の考えもあって、あえて現状ままを好む人も多くいます。
ということは、やはりギア周りがどうなっているかですね。

次回に続く

携帯パネルの交換

admin   8月 23, 2018   携帯パネルの交換 はコメントを受け付けていません。

やってしまいました。
これまで何度も携帯電話を落としていたのですが、今回は打ち所が悪かったみたいです。
このようにバキバキになってしまいました。

携帯本体のローンがやっと終わったところでした。
ただ、本体のローンが終わっても、毎月の通信料はそれほど安くならないのですね。
なんか釈然としませんね。

まずは機種変更を考えたのですが、毎月の支払いが増えるのも納得がいきません。
で、ネットで修理情報を集めました。
機種は Iphone SE なのですが、以外に沢山の修理情報があります。
そこで試しに修理キットを買ってみることにしました。

到着したのがこれです。

交換用のフロントパネルと、各種工具、それとパネルカバーです。
これで2000円です。
安っ!!

ネットにあった一番わかりやすい修理手順に従って作業を開始しました。

一応、バックアップを取り、電源をOFFしてカードを抜き取ります。
抜き取りの穴に刺す工具まで付いています。

下側面のネジを2本抜きます。
このネジは星形の穴が開いていますが、それに合う工具が付属しています。

ネジを外して、フロントパネルを本体から浮かせます。
ネット情報では、吸盤で吸い上げるようになっていましたが、パネルが割れているので、そのひび割れから吸盤の内側に空気が入り、吸盤が効きません。
ですので、細いドライバーでこじって開けました。

複数のコネクタを押えて抜け止めしているプレートを外します。

丸印の四つのコネクタを外すと本体からパネルが分離します。
ここまで意外に簡単です。

フロントパネルにはカメラや押しボタンが付いていますので、それらを外します。
まずは、押しボタンです。
プラスネジ三本を抜けば外れます。

押しボタンの周囲にゴムのシール材が有るのですが、これに粘着が付いていてパネルに密着するようになっています。
ゴム製のシール材を破らないように細いドライバーで少しずつ剥がします。
実はこれが一番面倒臭かったです。

次はカメラです。
ここも幾つかのネジを抜くと簡単に外れます。
カメラのそばにはスピーカも付いています。
写真が無くてすいません。

カメラはフロントパネルを裏から覆うカバー(右側)についています。
カバーは周囲にある五本のネジを抜くとフロントパネルから外れます。
これで交換するパネルだけになりました。

次は新しいパネルの取り付けです。

右が新しいパネルです。
赤い保護シートが貼ってあります。
保護シートを剥がし、これにカメラやスピーカを取り付け、逆の手順で組み立てます。

慎重に作業したので約三時間掛かりましたが、元通りに組み上がりました。
電源を入れます。
動きました。
すばらしい!!

ただ一つ難を言えば、表示される印字の輪郭が少し甘くなったようで、以前のようなシャープ感はなく、ふんわりとした雰囲気になりました。
尚、情報を読み取る上では何ら影響はありません。
写真もきれいに撮れました。

パネルが割れ難くなるように保護シールも貼りました。
これが意外としっかりしていて、気泡を嚙むことなくピシャーッと綺麗に貼れるのもgoodです。
パネルが綺麗になったので新品テイスト満々になりました。

私は細かい部品が見えないのでルーペやら顕微鏡も使いましたが、視力がOKな人ならもっと簡単に作業できると思います。
費用も安いですし携帯に愛着もわきますので、画面が割れていなくても是非一度お試しください。

(山崎)