北九州の空

暫く訪れたことのなかった九州に行ってきました。
といいましても、九州の一番手前の小倉・博多です。
今回、小倉に本拠を構える某会社様のご厚意により北九州空港で社有機に乗せて頂きました。

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この機体、オーストリアのダイアモンド・エアクラフト社製 DA42 型で 通称 TWIN STAR といいます。
カテゴリーは「モーターグライダー」の一クラス上の「飛行機」で4人乗りです。
2002年に初飛行した機体で、胴体はカーボンモノコック製。
造形が自由にできるため、かなり斬新なデザインです。

一基当たり170馬力のエンジンを二つ積んでいます。
燃料は旅客機に使うのと同じジェット燃料です。

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双発の機体に乗るには双発のライセンスが必要です。
ということで今回私は機長席ではなく当然に右のコパイ席です。
キャノピーが前に大きく開くので乗降は簡単です。
後ろから翼の上を伝って乗り込みます。

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始動点検です。
スイッチがたくさんありますので、チェックリストに従って行います。

正面には大きな液晶画面が二つ並んでいます。
飛行中、左側機長の正面のパネルには、速度計・高度計・エンジン計器などの飛行情報を表示させます。
右側の画面には主に地図情報が表示されます。
勿論、必要に応じて左右の表示の入れ替えもできますし、双方に飛行情報を表示させることもできます。

なんだか表示情報が多すぎて、慣れないうちは見るのが大変そうです。
正面上方にはアナログ計器(左から速度計・姿勢表示計・高度計・コンパス)が並んでいますが、これらは補助計器だそうです。

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驚いたのは機体の中が大変きれいなこと。
新しいということもあるかもしれませんが、ゴミひとつ落ちていませんし、グリス汚れ等もありませんでした。
しっかり整備されていることがわかります。

これは足元のペダルです。
これを左右に踏むことで垂直尾翼の後ろに付いたラダーが動き、機種の左右の向きを修正します。
左右のペダルの上に付いている三角の板はブレーキペダルです。
地上滑走中にこれを踏み込むことで左右のブレーキを個々に効かせ走る方向が決まります。

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離陸直前の私。
少々緊張しております。

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管制塔から離陸許可が出ましたので、滑走路に進入し、離陸です。
北九州空港の滑走路は2500mで、ちょうど南北に向いています。
風はやや西寄りの北風でしたので、使用ランウェイは36、つまり、北向きに出発します。

二つのエンジンの回転が非常に滑らかで、フルパワーに入れてもとても静かです。
操縦席の前にプロペラがないので視界がとても良好です。

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小倉市街の上空を通過して下関側に入りました。
真ん中の島は巌流島です。
こちらが下関側で、向こうが九州です。

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さらに東に進み、関門橋を九州側に廻り込んだところです。
橋の向こう側に先ほどの巌流島が見えます。

空が霞んでいるのが残念ですね。
でもお話を伺いますと、小倉の空で青空がすっきりと見える日は年中を通して大変に少ないそうです。
暖かい地方なので蒸気が出やすい条件なのかもしれませんね。

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右席正面の地図画面です。
凄く鮮やかで必要な情報がバッチリ見えます。
例えば、自機の表示は中央下側の飛行機マークです。
南向きに飛んでいます。
その上のRJFRが北九州空港です。

ここには他に空港が四つ(RJDC:山口宇部空港、RJOZ:小月基地、RJFZ:築城基地、RJFA:芦屋基地)が写っています。
各空港は半径9kmの管制圏という専用エリアを持っていて、この中に入るときにはそれぞれの空港に無線でコンタクトする必要があります。
この画面だと無線連絡のタイミングを間違わないですね。

それから、他機の情報も見ることができます。
例えば北九州空港の左上に +12 と書かれた◇印がありますね。
これは北九州空港にアプローチしている旅客機で、+12は自機よりも1200フィート(360m)高いということです。

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さて、滑走路に向けた最終旋回です。
右の高度計が450フィート(130m)を示しています。
左の速度計は読みにくいですが、約100ノット(180km/h)です。

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ファイナルアプローチです。
この場面が一番集中するところです。

風がやや右から吹いていますので、機首を僅かに右に振っています。
この姿勢で機体は軸線上を進んでいます。
常に手足を使って、進入コース・速度・高さを調節します。
白い二つのマークが着陸点です。

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パイロットは超ベテランの方なので、さすがに美しい着陸をされました。
着陸ののち滑走路上でUターンを指示され、反対向きに走っています。
普通だと、一旦滑走路の横に並走しているタクシーウェイに出て駐機場に戻るのですが、このときはタクシーウェイ上に離陸点に向かうスターフライヤー(向こうの黒いヤツ)が居ました。
旅客機の排気の後ろを走らなくても良い様に管制官が配慮してくれました。

約20分のフライトでしたが、飛行速度が普段乗っているモーターグライダーの1.5倍あり、北九州がすごく狭く感じられました。
また、双発で機体重量も重いので、随分とどっしりした飛行感覚でした。
関係者の皆様、北九州の空を飛ばせて頂きまして大変有難うございました。
おまけ

次の日、所用のあと福岡空港に行ってみました。
なんと、博多駅から地下鉄で二駅です。
都心に最も近い国際空港ではないでしょうか。
第2ターミナルの4階までエレベーターで行き、さらに階段で展望デッキに上りました。

滑走路は一本で2800mです。
滑走路の方向は34-16で、真北から少し西に振っています。
写真手前(西側)の並びが国内線で、滑走路の向こう側(東側)が国際線です。
滑走路が一本しかないので時間によっては離陸待ちの機体で大変混雑していました。

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ボーイング787です。
以前のブログで模型が登場しましたが、こちらが本物。
翼がものすごく薄いですね。

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ああ、これに乗って大阪まで帰りたい。
でも、今回は宿泊付新幹線往復格安チケットを買っていますので夕方の指定車両まで時間待ちです。
今回の記事は待ち時間の間に書いております。

山崎

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