ロードスターのタイミングベルト交換
この連休を利用してクルマを整備しました。
1993年製の初代ロードスター(1600cc マニュアル仕様)です。
2年前に我が家に来ましたが整備履歴が不明です。
このクルマのキモの一つにタイミングベルトがあります。
タイミングベルトは、エンジンのクランクシャフトとカムスプロケットとを連結して、ピストンの動きに対して吸・排気バルブの動きを連動させます。
現在の走行距離は約17万キロ。
10万キロで交換と言われている部品ですので、もし未交換ならベルトが突然切れてエンジンが壊れるかもしれません。
とは言いながら、この2年間乗り続けています。
交換部品一式は1年前に入手していたのですが、ついつい今まで放置していました。
もうそろそろヤバいと思いまして、この連休に作業することにしました。
エンジンルームはこんな感じです。
クロームメッキのエンジンカバーと、車体剛性アップのストラットバーが格好良いです。
タイミングベルトはこのメッキカバーの中に入っています。
タイミングベルトはエンジンブロックの前側にあります。
エンジンを開ける前に、邪魔になるラジエータホースと、エアインテイクノズルとを外します。
そのためにラジエータの冷却水も抜きました。
下の方がよく見えるようになりました。
エンジンの外にもベルトが2本あります。ちょっとわかり難いですが、左が、クランクシャフトプーリー→オルタネータ→ウォーターポンププーリーと回すやつ、右が、クランクシャフトプーリー→パワステポンプ→エアコンポンプと回すやつです。
2本のベルトを外し、ウォーターポンプのプーリーを外します。
これと、その下のクランクシャフトプーリーを外さないと、エンジンのカバーが外れません。
細かなネジを回すために素手での作業になりますが、ついつい周りのホースを止めてあるクランプの角などで手を引っ掻いてしまいます。
エンジンカバーの上にあるのは解説書。手順を確認しながらの作業ですから時間が掛かってしまいます。
次に、クランクシャフトプーリーを外します。
ここにはエンジンのクランクシャフトが直結されていますからナットがメチャメチャ固いです。
クランクシャフトが回らないように、シフトを5速に入れ、パーキングブレーキをセットします。
約160Nmのトルクで緩めます。どれくらいかっていうと、このレンチを両手で握って目一杯回すぐらいの力です。
カキーンという音と共にナットが緩みました。
クランクシャフトプーリーを外しました。
タイミングベルトの一部とクランクスプロケットが見えます。クランクスプロケットは、クランクシャフトに対してキー部材を噛ませて差し込んであります。
飛び出して見えるキー部材とクランクスプロケットは、意外にもクランクくシャフトから軽く手で引き抜くことができます。
それにしても長年のオイル汚れでコテコテになっています。
幸い、タイミングベルトにはオイルは付着していませんでした。
今度は上に移り、エンジンカバーを外します。
ここから下の方に幾つかのカバーを外していきます。
場所が遠いので姿勢が苦しい。
点火プラグの配線を抜き、エンジンカバーのネジ11本を緩めます。
ここの締め付けトルクは、エンジンカバーとエンジンブロックとの間に挟まっているゴムパッキンを潰さないよう小さく設定されていて、ネジはすぐに緩みます。
2本のカムシャフトがあります。
写真下側が吸気側カムシャフト、上側が排気側カムシャフトです。
吸気側カムシャフトの端部についているユニットはカム角センサです。
タイミングベルトカバーを外していきます。
上から下まで三分割になっています。
因みに、上カバーと中間カバーとでサーモスタットバルブ(大きな口の空いたユニット)のパイプを挟んであり、中間カバーと下カバーとでウォーターポンプのボス部(三角形のフランジが付いている)を挟んでいます。
タイミングベルトカバーが外れました。
最近の車では、バルブタイミング可変機構が付いたものが多くなっています。しかし、初代ロードスターではまだそのような機構はありません。カムシャフトにはカムスプロケットが単体で付いているだけです。
尚、2代目ロードスターからは吸気側カムシャフトにバルタイ可変機構が付くようになりました。
さて、問題のベルトですが、意外にも新しいものでした。
これだとまだまだ使えそうです。
でも、せっかく新品部品がありますし、ここまで分解したら最後までやってみたいので作業続行です。
ベルトを外す前に二つのカムスプロケットとベルトに合わせマークを入れます。
下の写真のように、クランクスプロケットとベルトにも合わせマークを入れます。
この儀式は非常に重要です。
つまり、クランクシャフトの回転によって四つのピストンが上下し、ピストンの位置に合わせて吸・排気バルブが開閉するのですが、この同期がずれると、ピストンが上死点に来た時にバルブが開く、つまり、シリンダの内部にバルブが飛び出してピストンとバルブが当たるかもしれません。
そうなるとエンジンを壊してしまいます。
取り外したベルトのマークを新品ベルトに写します。
この新品ベルトをあとでスプロケットに同じ状態に取り付ければエンジンが元の状態にセットされます。
タイミングベルトを外し、サーモスタットバルブと、ウォーターポンプも外しました。
ちょっとわかりずらいですが、二本のカムシャフトの少し下で上下に開いている孔が、上がサーモスタットバルブの取付孔、下がウォーターポンプの取付孔です。
ここまで分解すると、ついでに幾つかの部品も交換しておきます。
これは、カムシャフトのシールリング(ゴム製)。
高速回転するカムシャフトの外周面に密着し、カムシャフト室のオイルがタイミングベルトの側に漏れ出すのを防ぎます。タイミングベルトにオイルが付着するとタイミングベルトの劣化を早めてしまいます。
これはウォーターポンプで左が新品。
交換してまだ間がなかったようで、羽根部材の回転は滑らかでした。
でも、せっかくですからこれも交換します。
サーモスタットバルブの取付面です。
ここがエンジンブロックの孔に取り付きます。
シール用のゴムパッキンを新品に交換します。
ウチのニャンコです。
完全に家飼いで表には出していません。
珍しそうに暫く見ていました。
ワンコもいます。
なんか品良く写ってますが、スーパーミックス、つまり完全超雑種です。
ここからは組み付けです。
ウォーターポンプ、サーモスタットバルブを取り付け、マークを合わせてタイミングベルトを取り付けます。
サーモスタットバルブは表面を磨いたので色白になりました。
2本のベルトを戻し、オルタネータと、パワステポンプの位置を合わせました。
あとは、エアインテイクノズルとラジエーターホースを取り付けて復旧終了です。
冷却液を入れ、試運転しました。
スターターを回すのに緊張しましたがエンジンは無事に掛かりました。
ここまで、息子にも手伝ってもらいながらトータル2日間の作業でした。
整備の確実性は別として、これでタイミングベルトを気にすることなく走れます。
おまけ。
疲れて寝ているわけではありませんよ。
エンジンのアンダーカバーを付けるために下に潜り込んでいます。
この格好で作業しているとき、ご近所さんがよく前を通ります。
ちょっと恥ずかしいです。
やっぱり床埋込式のフロアジャッキが欲しいですねえ。
山崎