ベンツW124 エンジンOH (4/10) バルブ洗浄

今回は、洗浄作業の一つの山、バルブの洗浄です。
バルブの洗浄は、大きく分けて全体の磨き作業と、バルブ先端にある密閉部の擦り合わせ作業があります。


洗浄前の排気バルブ(左)と吸気バルブです。
吸気バルブは密閉部の状態も綺麗で、オイル汚れを取るだけで済みそうですね。
排気バルブは、密閉部にスラッジが張り付いているのが分かります。
まずは吸気バルブの裏面を磨いてみます。


電動ドリルの先端に金属ブラシを付けて磨きます。
湿り気のあるオイル汚れですが比較的簡単に取れます。


1分ほど磨くとこんな感じで印字が見えてきました。
こんなところにも印字してあるんですね。
何処まで磨くかですが、表面には円周方向に沿って当初からの旋盤の削り跡も見えますので、面の滑らかさを気にすることはなさそうです。
なのでこの程度に汚れを取るだけで十分でしょう。


こちらは排気バルブです。
こちらの裏面は平面なのですね。
同じようにブラシで磨きますと、乾いた削り粉が煙のように飛び散ります。
こちらにも印字があります。
左のバルブの丸い剥がれは、スプリングコンプレッサーを当てた跡です。

双方のバルブとも軸側も綺麗にします。
特に、排気バルブの軸にはカーボンが固着していますので、カッターナイフを使って鉛筆削りの要領で除去します。
1本約5分の作業を16本分行います。

バルブ単体を綺麗にした後は、ヘッドのポートとの擦り合わせです。


バルブの当たり面に金属磨き用のアモールを塗って擦り合わせをやってみます。
因みに、ヘッドは漬け込み洗浄で綺麗になっています。


このようにバルブを一本ずつ定位置に差し込み、弁の裏面をたこ棒の吸盤で保持しながらポートに打ち付けます。
打ち付けるときに回転させるのがコツです。
これによりバルブとポートの当り面にあるカーボンが取りが除かれ、両者が研磨されて互いの密着度が上がります。

しかし、この吸盤のゴムが硬くバルブが直ぐに外れてしまいます。
バルブの表面もツルツルではありませんので、直ぐに空気が入ってしまい、バルブを保持できません。
試しに薄くオイルを塗ったら、たこ棒が滑りまくってセンター保持が無理です。
数回の打ち付けでは、カーボンも殆ど取れていません。
これは相当気の長い作業になりそうです。

そこで、何か良い方法はないものかと考えまして、排気バルブのカーボンを直接除去することにしました。


バルブの周囲のカーボンを削る作戦です。
ちょうど机の横に時計用のドライバーがありました。
細かいところが見えないので例によって実体顕微鏡も使います。
ドライバーをノミの様に使うとカーボンがパラパラと取れます。
なかなかの快感ですよ。


ドライバーの先から下側が除去後の面です。
カーボンはバルブの当り面から凸状に付いていますが、当り面には細かな凹みもあります。
完璧を期すなら、カーボンを取り除いた後、凹みが無くなるほどに面を磨いて密着度を高めると良いのでしょうが、凹部の周囲のバルブ母材を削るというのは相当に大変です。
カーボンを取り除いただけでも密閉度はかなり回復しているように思いますので、勝手にこの辺で止めることにしました。
そうすると一本の排気バルブの作業時間は約10分で済みます。
尚、ヘッドのポート側にはカーボンは殆ど付いていませんでした。


因みに、こちらは吸気弁の当り面です。
グレーの帯の部分ですが殆ど何も付いていません。

専門業者が作業する場合には、バルブをポートに当てた状態で灯油を注ぎ、漏れがなくなるまで磨くようですが、自分の車なのでそこまでの品質は求めないことにしました。
ということで、バルブ洗浄作業を大幅にショートカットしたおかげで、ヘッドの洗浄とバルブの洗浄までが終わりました。
ここまでで述べ7日間、3週間が経ちました。
ちょうど折り返し点といったところでしょうか。
次回はバルブの組み付けです。

つづく

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