ベンツW124 エンジン息つきの原因探求(2/3)一部解決編

ようやく息つきが解決しました。
昨年11月のヘッドオーバーホール開始から約半年が経ちました。

犯人は、インジェクションデリバリーパイプの燃料供給側についているフィルタでした。

前回、インジェクタを復旧したあと燃料を満タンにしつつフューエル1を入れ、福井まで往復することになりました。
速度制限は95km/hですので交通の妨げになることはありません。
ところが、10km程走りますと1500rpmぐらいで息つきし始めたのです。
これまでになかった症状です。

路上停止になるのは嫌なので引き返すかどうか迷いましたが、アクセルをあおると症状が消えるので、そのまま走ることにしました。
150km程走った頃でしょうか、それまでのグズ付きが無くなり、アクセルの感触が急に軽くなりました。
応答性が良くなり、踏み代も少なくなった感じです。

高速道路でしたので少し踏み込んでみました。
すると2500rpm、100km/hをすんなりと越えていきます。
120km/hほど出してみましたが良い反応です。
なんだか急に治ったみたいです。
そのまま福井まで普通に行けてしまいました。

しかし、翌日、走り始めると、今度は20km/hぐらいで息つきします。
2500rpmでは大丈夫です。
症状の出る回転数が一気に下がりました。

これはどういうことか?
機械的には何も触っていませんので、ほぼ燃料系統でしょう。

今回、フューエル1を入れました。
どうもその効果であるような気がします。
これまで症状が出てから500kmほど走っていたのですが、一向に変化はありませんでした。
それを考えるとフューエル1効果と考えるのが妥当なようです。

推測ですが、何処かの詰まりがフューエル1によって取り除かれ、燃料の流れが良くなったのでしょう。
症状の出る回転数が変化したのは、異物の詰まり状態が変わったからかもしれません。
前回のヘッドオーバーホールの時にデリバリーパイプを約1ヶ月間放置していたので、燃料が乾燥して不純物が完全に固化した可能性もあります。
その固化物は通常の燃料では溶けず、フューエル1によって溶け出したと考えると辻褄が合いそうです。

そこで、再度、デリバリーパイプを外してみました。
まずは、パイプの両側を閉じている蓋を外してみました。

おー、なんということに。
シールゴムが大変なことになっています。
27年間働いてきたわけですからね。

前回の異物はコイツだったようです。
それでも二重になっている外側のシール部はまだ健全です。

反対側も同様でした。

これが犯人だったとすると、各インジェクタのフィルタにも異物が溜まっているかもしれません。
で、各フィルタを確認しました。
しかし、異物は一つもなく編み目は綺麗です。
??????
じゃあ、何が悪さをしている?

上流にあるメインの燃料フィルタはこの前交換済みだし。
デリバリーパイプには二本の配管が繋げてあるけど、残りはここか?
でも、この配管の太さだと詰まりようがない。

まず、戻り側の配管を口で吹いてみました。

スカッと空気が通ります。
そりゃそうだわ。

次に供給側の配管を口で吹いてみました。

こちらもスカッと空気が、、、通りませんっ!
大変に重いです。

ジョイントを外してみました。

これは、交換部品が揃ったあとの写真ですが、問題のジョイントは右端のネジ孔に付いています。

ジョイントの拡大です。

外から見ると単に配管を繋げるだけの接続パーツですが、中にカゴ状のフィルタが入っています。

顕微鏡で見てみました。

盛大にゴミが詰まっていました。

繊維状のゴミが網目から沢山顔を出しています。
これでは、流れが悪くなるのは当然です。
ただ、エンジン分解前は問題なかったので、もしかしたら、放置している間に沢山のホコリが入り込んだのかもしれません。

掃除できそうではありますが、27年も働いてくれたのだし、ここは新品に交換しようということでディーラーで部品を注文しました。
フィルタ付きジョイントは部品がありました。
アルミ製のガスケットと合わせて約2,000円です。

一方のデリバリーパイプの両端の蓋は単品供給がなく、パイプ全体のAssy供給しかありません。
因みに85,000円ですと。
これは流石にあきらめ、シールゴムをネットで探しました。

純正品は、二重の土手があるゴムが蓋の溝に一体成形してあって大変しっかりしているのですが、一般のゴムリングでも大丈夫でしょう。
耐ガソリン性のNBR製のゴムリング(120円)を二つ購入しました。
これ等を組付け、エンジンを復旧しました。

こんな感じで燃料が流れます。

さて試運転です。
燃料パイプにエアが混入しているので最初は何度か咳き込みましたが、1分もすると回転が安定しました。
3000rpmまで滑らかに加速します。
これこれ、この感じです。

その後、まだ長距離は走っていませんが、おそらく大丈夫でしょう。
それにしても、こんなところに原因があったとは。

エンジン整備書やネットにはこのフィルタのことは出て来ませんし、ここを指摘する人もいませんでした。
このパイプの上流にはメインの燃料フィルタがあるので、通常であればこのフィルタが詰まることはなく、存在に気が付かないのかもしれませんね。

ということで、長期に亘ったヘッドオーバーホールがやっと完結しました。
おかげで、壊れやすいと言われる部品はコンピュータを除いて全てストックすることになりました。
これでしばらくはエンジンの調子を保つことができそうです。

終わり

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