グライダー訓練

こんにちは
この盆休みに久々に木曽川滑空場に行って来ました。
福井空港には時々行っていましたが木曽川は4月の事務所開業以来初めてです。

ここは岐阜県海津市にあり木曽川と長良川とに挟まれた河川敷です。
東海・関西地区の大学航空部が練習する場所として長年占有許可を受けています。
今回は母校の大阪大学と、京都大学、龍谷大学の合同合宿です。

それにしても暑かったです。
水分が飛んでしまうので1日で軽く1kgは痩せます。

滑走路です。

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向こうが長良川、こっちが木曽川です。

飛ばしているグライダーです。

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これはドイツ製のASK-13という複座練習機です。
胴体は鋼管フレームに布張り、翼は木製骨組に布張りです。
翼の長さは15mありセスナの約1.5倍大きいのですが、自重は凄く軽くて約300kgです。
普段は前席に練習生、後席に教官が乗ります。
前後の操縦桿が連動するようになっていて、学生さんには舵の動かし方を一緒に覚えてもらいます。

エンジンのないグライダーは他の動力で空中に引き上げます。
飛行機で引っ張る方法と、凧揚げのように引き上げるウインチ曳航があります。
木曽川では全てウインチ曳航です。

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トラックの荷台に自動車用のエンジンを載せてあり、左右の車軸にはタイヤの代わりにロープを巻くドラムが取り付けてあります。
ドラムには直径5㎜程の合成繊維のロープが約1000m巻かれてあり、それを一杯に伸ばしてグライダーを引き上げます。
ウインチの操縦は3年生や4年生の学生さんが行います。

別の方向から見るとこんな感じ。

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正に凧揚げですね。
高度400m程でロープを切り離したグライダーは90km/hで巡行します。
特に上昇気流がなければ約6分間飛ぶことができます。
上昇気流を探すために着陸地点に帰る高度を計算しながらできるだけ広い範囲を飛行します。
また、上昇気流が期待できない天気だと、失速や急旋回など様々な課目を練習します。
70回ぐらい練習すると単独飛行に出ることができます。
平均的な学生さんですと2年生の夏ごろですね。

機内の様子です。

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ファイナルアプローチでコースを右に修正しているところです。
グライダーの着陸は1回きりですからなかなか緊張します。
進入速度は100 km/h、毎秒4m/sで降下しています。
これは旅客機などと比べると急降下の部類に入ります。
でも滑走路は広いですし、接地したあとは50mほどで停止しますので、滑走路を飛び出すことはありません。

後席に乗っている私です。
暑そうですいません。

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肩越しの丸いパイプやそこから前に延びる少し細いパイプが胴体の主構造です。
後ろのグレーのÙ字型のものは木製の枠で、胴体上面の成形材です。
四角い黒い部分は単なる孔で、この後ろは尾翼まで空洞になっています。

フライトが終わると簡単にブリーフィングを行います。

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学生さんは、必要な知識は事前に座学で予習し、実際に飛んでみて技量を高めていきます。
飛行機の操縦は自転車や車の運転と同類なのですが、二次元に加えて上下の動きが入ってきますのでその感覚に慣れるまで少し時間が掛かります。
上空では「3割頭になる」等と言います。
なので飛行中も平常心でいられるように地上ではイメージフライトを繰り返します。

旋回中に傾きが変わると、「滑り」が発生し、斜めに飛ぶことになって胴体の抵抗が増え、高度を失います。
また、機首の左右方向は、ペダルで垂直尾翼を動かして調整しますが、踏み方が多かったり少なかったりするとやはり滑ります。
人の頭は新しい環境に直面するとそれに対処しようとしてフル稼働を始めます。
やってる本人は必死なのですが、状況がよくつかめず頭が気持ち悪がってウニョウニョした状態になります。
でもそういうのを何度か経験し、そのようになる理由を理解し、操縦方法がわかると、急に複数のことが同時に処理できるようになります。
人間の脳は大変によくできていると思います。

これはロープを出発地点まで引き戻してくるリトリブカー(普通の軽トラ)のエンジンのキャブレターを点検しているところです。

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グライダーを飛ばすには機体の他に自動車やウインチ、無線機、草刈り機なども重要な道具です。
学生さん達は、グライダーは勿論、その他のものも自分たちで整備します。
各大学の航空部にはなかなか頼もしいメンバー達が揃っています。

こうして時々学生さん達と過ごすとちょい若返ったかなと勝手に思い込んだりしています。

山崎

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