飛燕とゼロ戦

こんにちは
11月3日まで神戸ポートターミナルで開催されている「飛燕」の復元展示に行って来ました。

この機体は、一般財団法人日本航空協会の所有で、これまで鹿児島の知覧特攻平和会館で展示されていました。
製造元は川崎航空機工業ですが、それを今回川崎重工業㈱の手によりさらに原型に近い形に修復されました。

これは「飛燕Ⅱ型」で、初代「飛燕」に対してエンジン性能などを向上させたものです。
飛燕は、当初からダイムラーベンツ社製の液冷エンジンを搭載しており、Ⅱ型ではエンジンの圧縮比を上げるなどして1175馬力から1500馬力に増強されたそうです。
初代の初飛行が1941年12月12日で、Ⅱ型の完成が1944年5月です。
ただし、排気弁の焼損等が解決できず、1944年10月からは飛燕も空冷エンジンに換装されたそうです。

さて全体形状です。
液冷エンジンのため前方に冷却用の空気を取り入れる口がありません。
ただし、写真では見えませんがラジエータが胴体下部に設けてあります。
ノーズが非常にスッキリしていて抵抗が少なそうです。
最高速度は 610km/h だったそうです。

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こちらはゼロ戦です。
いい機会ですので古い写真を取り出して比較してみました。

この写真は、2008年にアメリカに飛行機の免許を取りに行った際、ロスアンゼルス近郊のチノ飛行場にあるPLANES OF FAME に行ったときのものです。
このゼロ戦は当時の栄エンジンを積んでいて今でも飛行可能です。
胴体下にはオイルの受け皿が並んでいて、現役機であることを証明しています。

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飛燕のノーズです。
縦に六つ並んでいるのが排気管です。

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V型12気筒の直噴エンジンで排気量は33.9リットルです。
どこがどうなっているのかよくわかりませんが、スーパーチャージャーも付いていたそうです。

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一方、ゼロ戦のノーズまわり。
星型エンジンですから、排気管が胴体の周りに散らばっています。
排気管の形状は手作り感満載ですね。

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前から見るとぐるりと並ぶシリンダが見えます。
沢山のフィンが付いた一かたまりが一つのシリンダです。
空冷エンジンですから、空気を当てるためにこのように前が空いています。
カウリングのカーブも手作り感があふれています。

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尾翼周りです。
水平尾翼と垂直尾翼は金属フレームに羽布張りです。
水平尾翼の先端についている小さなトリムタブは金属製でした。
左右の水平尾翼の後縁と垂直尾翼の後縁には夫々さらに小さな固定タブが付いています。
これはジュラルミンの一枚部品のようでした。
ほんの小さな部品ですが、高速で飛ぶときには舵の安定に役立つのでしょうね。

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ゼロ戦も水平尾翼・垂直尾翼は同じく羽布張りですが、細部の仕上げが丁寧ですね。
水平尾翼の後ろは綺麗にフィレットが作られていて胴体との境目で発生する抵抗が少なそうです。

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部材どうしの段差が少なく、もの凄く気を使った作りです。
ある種芸術作品のようです。

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脚部です。
左が飛燕、右がゼロ戦です。
どちらも緩衝装置を備えていて、ブレーキは油圧式のドラムブレーキのようです。
ゼロ戦の軸受けアームは丸い断面で味わいがあります。
飛燕の脚はジャッキの上に載っていますが、ゼロ戦は転がり跡のあるタイヤで立っています。

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飛燕の尾輪です。
飛行中は出たままです。
非常にシンプルな構造でタイヤは空気を入れないソリッドタイヤです。

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ゼロ戦の尾輪もソリッドタイヤですが全体に凝った形をしています。
こちらは油圧による引込式。
引込機構のオイルが漏れるのかホイールが汚れていますね。

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ゼロ戦の初飛行は1939年で、飛燕はその2年後です。
ゼロ戦は三菱重工によるものですが、年代の差によるものかメーカーの差によるものか、両機の雰囲気に差があって面白いですね。

会場では作業風景などを映したビデオなども上映されていましたが、作業されている方々が皆楽しそうでした。
また、プロジェクトのメンバーの方が直に解説されていましたが、「恰好いい」という単語が何度も出てきたりして、なんだか親近感を抱いた次第です。

山崎

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