W124 フロントハブベアリング交換
こんにちは
すっかり整備手帳みたいになってしまいましたが相変わらず車ネタです。
しかも前回に続いてまたフロントハブです。
先日、右下の方からうなり音が出始めました。
スピードを上げると音が大きくなるのでどこかの回転部です。
シフト変更しても音の周期は変わらないのでミッションではありません。
開放的な音ではないのでタイヤ表面でもなさそうです。
そうするとおそらくハブベアリングです。
特に左にハンドルを大きく切って右に荷重が掛かったときに音が大きくなります。
ということは右のハブベアリングが不調なようです。
走行距離は17万キロですので、さすがに寿命なのでしょう。
早速、ネットで部品(社外品)を注文しました。
対象純正部品番号 2013300251
まず、ジャッキアップしてウマを噛まし、タイヤを外します。
この状態でディスクを手で回すと確かにゴリゴリします。
ここのベアリングで間違いないようです。
次にブレーキキャリパを外します。
裏側で固定してある2本のボルトを外すとキャリパーはフロントアクスルから離れます。
ただし、キャリパがディスクから抜けてきません。
これは、長年の使用でディスクが薄くなっているのですが、縁部はブレーキパッドが当たらず元の厚みのままです。ディスク両面を挟むブレーキパッドの間隔がディスクの縁部の厚みよりも2mmほど狭くなっています。
そこで、長めのレンチを使っててこの原理でキャリパの一部を押し、ブレーキピストンを押し込みます(写真がなく分かり辛くてすいません)。
キャリパーが外れました。
結構重く、ブレーキパイプなどがつながっているので、車体側に針金で吊ります。
次に、ブレーキディスクをハブから離します。
六角穴のボルトを一本外せば簡単に外れます。
ブレーキディスクは、普段は5本のボルトを使ってタイヤのホイールと共締めされているので、六角のボルトは仮固定用みたいなものです。
フロントハブが見えました。
少々錆びています。
摩擦で嵌め込んである赤い色付きのキャップを抜き取ります。
ハブナットが出てきました。
当初、ハブナットの周りには、ハブナットが隠れるぐらいにグリスがたっぷりと塗ってあったはずですが殆どなくなっています。
ハブナットには緩み止めの固定ねじが付いています。
固定ねじを緩め、ハブナットを外します。
ハブナットを外すと、外側のベアリングが外せます。
かなりくたびれた感じ。
このハブには、内外二つのベアリングがあり、外側が小さくなっています。
さらにフロントハブが抜けてきます。
ハブの軸は先細テーパーになっていて、根元の太い部分と先の細い部分とで夫々ベアリングを支持します。
軸を綺麗にしました。
ベアリングの受け部が少し黒くなっていますね。
内側のベアリングです。
グリスはもともと綺麗なグリーンだったのですが、黒く変色してしまっています。
内側の大きな方のベアリングのカラーです。
ハブの内面に摩擦で打ち込んであります。
ベアリングが当たる内面がテーパーになっています。
表面に傷はありません。
購入した部品にはこのカラーも入っているのですが、取り外すのが面倒なのでこのまま再利用します。
因みに新品部品はこんなのです。
両方ともカラーの内面がテーパーになっていて、互いに広い方を外に向けて取り付けます。
さきほどのハブナットを締め付けると、これらのベアリングが近付いてテーパー面に押し付けられます。
この押し付け力が微妙で、強すぎるとタイヤがガタつきますし、強すぎるとベアリングを痛めてしまいます。
メンテナンスマニュアルには、ハブが手で回り難くなるまでハブナットを一旦締め、そこからハブナットを緩めて、ハブが軸に沿って0.01~0.02mm動く程度にしろと書いてあります。
あいにく、そのための測定ゲージもないので感覚で締めることにします。
外側のベアリングのカラーです。
内面がかなり傷んでいます。
こちらは交換です。
専用工具がないので、かなりアクロバティックな方法で抜きました。
汎用のプーラーの2本の爪を内側からカラーに掛け、ハブの孔にタガネを渡してプーラーの押しボルトの受けにします。
このままプーラーの押しボルトを回すと、プーラの2本の爪が中心側に逃げるので、それを止めるためにレンチの柄を突っ込んでます。
途中でどうしてもプーラーが外れるので、4~5回組み直してやっとカラーが外れました。
続いて新しいカラーを打ち込みます。
旧いカラーを当て金にしながら周囲を少しずつ叩いていきます。
入りました。
なんか、スムーズな回転が想像されて嬉しい感じです。
グリスを塗り込みます。
純正のグリスはグリーンなのですが、今回は、バイク王で購入した WAKO’S ハイマルチグリース M520 です。
ベアリングには勿論ですが、ハブの内部にも結構たくさんのグリスを充填します。
つまり、上の写真でハブの内部が広くなっているのがわかりますが、ベアリングだけにグリスを塗ったのでは、回転の遠心力でグリスが直ぐにハブの内壁に逃げてしまうのです。
なので、ハブの内壁にグリスが張り付いてもベアリングの位置までグリスが満たされるようにします。
こうすると、ベアリング部のグリスが循環する効果もありそうです。
ベアリングを取り付け、ハブナットを固定して、グリスを充填しました。
あとは逆の手順で復旧しました。
早速、走ってみましたが、すっかり音が消えて気持ちよかーーでした。
ベアリングは定期的に洗浄してグリスを補充すれば長持ちするのでしょうけど、たぶん怠けてしまうでしょうね。
(山崎)