RADO クォーツ時計の修理 2

山崎:

おじゃまします。
もう少し分解しました。
文字盤:光の具合でわかりますが、8時の角と4時の角が少し下方に曲がっています。
ケースに入れる時に押したのかもしれません。

文字盤の裏も汚れが回っていて赤く変色していました。
これは錆びではなく、機械油や人の汗の汚れです。
ちょうどリューズの位置から入った汚れがこのようになったみたいです。
やはり気密性が少しダメになっていたのでしょうね。

止まりの一番の原因はこの汚れと思われます。
このために日付リングが回らなくなって時計が止まった可能性があります。
日付けリングの内側に小さなギザギザが付いてますが、ここを押え板が押えています。
周方向に3箇所で押えます。
このギザギザが赤くなっていますので、動いていた時に、押え板の汚れを擦りながら回っていたのでしょう。
日付リングの押え板を外してみると裏側が盛大に赤くなっていました。
リューズの位置です。

押え板は単なる金属板ですので磨けば簡単に綺麗になります。
日付リングの20~22の汚れは取れるかどうかわかりません。
端の方で試してみて、汚れが取れそうならクリーニングしてみます。
ただし、そのほかのギヤは軽く回りますので、この部分を掃除すれば可能性があります。
動くと良いのですが。

Aさん:

押え板というのは、右に外した部品のことですか?
この部品の錆(汚れ)がひどいですが、その奥にあるギヤなどのダメージは少なそうですね。
ここまで分解すると、割とシンプルにみえますね。
通常は、どのねじを外せばよいか分からないので、時計というものは精密で素人が手を出しにくいと感じますが、理屈が分かると面白いですね。
押え板がきれいになったら動きそうな気がします。
楽しみです。よろしくお願いします。

山崎:

それが押え板です。
また、写真の各歯車は、手前に引けば全て抜けます。
この押さえ板で、日付リングも各ギヤも押さえています。

今日、新しい電池を入れてみます。
もし、ギヤの停止が原因でクォーツに無理が掛り回路が壊れていなければ、負荷がない状態でクォーツが動くと思いますので、ギヤの掃除で直るかと思います。
ただ、日付リングの20~22の汚れは、端の方をアルコールで拭いてみましたが、文字盤の塗料も落ちそうなので手が出せません。
これは現状維持とするしか仕方がありません。
やろうと思えば、同じ機械が別のメーカーの時計にも沢山使われていると思いますので、そのようなジャンク時計をヤフオクで探して日付リングだけ使うという手はありますが。

Aさん:

日付リングは仕方ないですね。
20~22だけが変色ということは、その位置で長いこと止まったまま放置していたためでしょうね。
もし順調に動けば、周期的に赤い文字盤が現れるのですが、それも一つの個性で面白いです。
現状維持でお願いします。

山崎:
機械を開けてみると、現代の国産クォーツに使われているような超小型プラスチックギヤは一つもなく、従来からの金属ギヤばかりでした。
これだと、組立時に部品を壊す可能性が低くなるので安心です。

次回に続く

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