オールド RADO の修理 2
今回は分解まで進めてみます。
まずは機械をケースから取り出すためにリューズを抜きます。
リューズは、ケース横のリューズ孔を通って機械の中に刺さっていますので、これを抜かないと機械がケースから出てきません。
その前に、後で針を抜き易くするために、時間針・分針・秒針を一直線上に揃えておきます。
棒状の部分を巻き芯といい、リューズの側がネジになっています。
一方のリューズのには雌ねじが切ってあって巻き芯のネジをねじ込んで止めています。
特に力が掛かるのはゼンマイを巻き上げる側、つまり、リューズを右回しする方ですから、リューズはいつもネジに増し締めされますのでリューズが抜けることはありません。
ネジの部分がかなり錆びています。
リューズ孔は汗や湿気が入り易いところですから仕方ありませんね。
また、リューズの外周もかなり摩耗していてゼンマイの巻き上げ時に指が掛りません。
これは交換した方が良いでしょう。
次に機械をケースから外すのですが、機械を固定している二本のネジの片方が折れていました。
ネジの頭が飛んでいて、胴体が地板の中に残っています。
ネジが地板に嚙んでいると抜くのが厄介ですが、なんとかなるでしょう。
取り出した機械から針抜き工具を使って針を抜きます。
ツッパリの足が文字盤に押し付けられますので、文字盤に傷をつけないようにラップを被せ、ラップごと三本の針を一緒に抜きます。
黒い二本の腕の先が鉤形になっていて、三本の針の下をラップごと抱えます。
白いプラスチックに繋がっている円弧状のアームを親指と人差し指で締めると、黒い腕が針を抱えます。同時にプラスチックが黒い腕に対して下にスライドして文字盤を押し、針を持ち上げて抜くことができます。
このように腕時計の針は全て軸に押し込んであるだけです。
機械から文字盤を外し、文字盤側と機械側と順番に分解します。
部品を一つ外す毎に写真を撮っておきます。
まずは、文字盤側から。
こちらはリューズの引き出し機構(右側のグレーの部品達)や三針を止める歯車(中央の二枚のギヤとその中心の秒針軸)などがあります。
次は機械側。
こちらには、ゼンマイの動力を三針に伝える歯車達がいます。
三針を動かす基本構造はどの時計も同じです。
銀色の大きな丸いのがゼンマイを入れてある香箱(こうばこ)です。
中央の歯車が秒針歯車で、真ん中の細い軸が地板の向こう側まで貫通しており、そこに秒針が差し込まれます。
こんな感じで、分解はスムーズに終わりました。
分解し終えた結果ですが、通常のメンテ作業に加えて次の作業が必要そうです。
1.折れた固定ネジの抜き取り
2.リューズの交換
3.風防の磨きもしくは交換
次回は、折れた固定ネジを抜いてみます。