オールド RADO の修理 6
こんにちは
RADOの修理も終盤になってきました。
リューズの位置固定ばねが入手できたので機械の組み立てが終了しました。
全ての部品の汚れをアルコールとブラシと超音波洗浄機できれいにしました。
機械をケースに止めるねじが一つ欠けていましたが、手持ちのジャンク時計から流用しました。
これは自動巻き機構の歯車です。
三つの歯車が見えますが、左上の歯車がローターの回転を受ける駆動歯車です。
右と下の歯車がワンウェイクラッチで、駆動歯車の歯が双方に掛かっていて、ローターの回転がどっちに回ってもこれら二つのうちの片方がゼンマイに回転を伝えるようになっています。
ワンウェイクラッチは夫々ルビー付の円盤が上下2枚あります。
上下の歯車にはルビーが6個ずつ使われているので、ワンウェイクラッチ2個分で24個のルビーが使われています。
あと、ローターの駆動歯車に10個のルビーが使われているほか、この歯車の軸受けにも使われていますので、自動巻きユニットだけで35個以上のルビーが使われています。
この時計は57JEWELSですから、通常の機構部に20個ほどのルビーが使われています。
一般の時計は17個程度ですから、なかなかの豪華仕様です。
ワンウェイクラッチの歯車にルビーが入っていない孔があるのはルビーが脱落したのではなく、オイルを指すメンテナンス用の孔です。
この中にものすごく小さな爪と歯車が入っています。
次はリューズです。
長年の使用でリューズがすり減り、上手く指が掛かりません。
なので、オリジナル性よりも実用性を優先して市販のものに交換します。
オリジナルを分解するとこんな感じです。
リューズは巻き芯のねじにねじ込んであるだけなので、ペンチで巻き芯を掴んで、リューズを手で回して外します。
ネットで良さそうなリューズを探そうとしました。
ケースが金色なので、リューズも金色を選びます。
しかし、ここで少々悩み発生です。
巻き芯のねじ径とリューズのねじ径が合わないのです。
オリジナルの巻き芯のねじは1.0mm径なのですが、市販のリューズには1.0mmがなく、殆どが0.9mm径のねじです。
RADOの純正リューズが見つかれば問題ないのですが、品がなく、またあっても値段が張りそうです。
そうすると、やはり0.9mmねじのリューズを使いたくなります。
そこでネットで探したのが、延長巻き芯です。
これが優れもので、雄ねじと雌ねじが切ってあって、雄雌同径のものもあれば、異径のものもあるのです。
今回使ったのは、雌ねじが1.0mmで雄ねじが0.9mmのものです。
このままでは長いので、写真のようにオリジナルの巻き芯と延長巻き芯の両方とも黄色の位置でカットします。
これは、普通のニッパで簡単に切れます。
ただ、注意しないといけないのが、リューズは巻き芯のねじにねじ込んで固定するのですが、ギュッと締め終わったところがリューズの固定位置になります。
つまり、一杯締めた状態で巻き芯の胴体部分の長さがバッチリ決まらないと、リューズを機械に付けたときにマズイことが起こります。
巻き芯が長いと、リューズを一杯に押し込んでもケースとの間に隙間が残って不細工になります。
一方、巻き芯が短くなるとリューズを押し込もうにもケースに当たって押し込めなくなります。
ですので、巻き芯を切るときは少し長めに切り、リューズを締め込んで長さを確かめながら少しずつ短くしていきます。
1時間程長さ調整をやりましてこのようになりました。
これを取り付けたのが最初の写真です。
これでゼンマイの巻き上げが楽になりますし、見栄えも格段に良くなりました。
機械の方はこれでほぼ完成です。
あとは風防とケースの手入れです。
次回はいよいよ最終回です。