TUDOR 3

今回は、ゼンマイや軸受ルビーの清掃・注油です。

まずは、ゼンマイを取り出す前の香箱の様子です。

思ったほど汚れていませんでした。
ただし、オイルは完全に無くなっていてカラカラですね。

ゼンマイを取出しました。

取出し時にゼンマイが一気に解けると、中央の芯部材がどこかに飛んだり、ゼンマイの一部が折れ曲がったりする恐れがあります。
そうならないように爪で押さえながら中央部分から慎重に伸ばしていきます。
なかなかコツが要ります。

香箱をアルコールで洗います。

一方、ゼンマイの方は、布にアルコールを付けて汚れをふき取ります。
布を介してゼンマイを指で挟み、ゼンマイを引きながら両面の汚れを取ります。
最初は、ザラついた感触がありますが、数回引くと滑らかな感触になります。
ゼンマイの表面に傷は有りませんでした。

ゼンマイの清掃が終わると、直ぐに香箱に戻します。
指で巻き込むのですが、曲がり癖のあるゼンマイを反対側に曲げながら入れなければならず、これが一苦労です。
折れ目を付けないようにゼンマイを押さえ、香箱をチョビチョビと回しながら巻き込んでいきます。

巻き込みが終われば、オイルを指します。
ゼンマイに塗るオイルと、オイルを垂らした様子です。

側面に点々とオイルを置くと隙間にしみ込んでいきます。

時計のゼンマイを巻くと中央のコマが写真で反時計方向に回り、外周に張り付いているゼンマイが、中心側に巻き取られます。
このとき、重なったゼンマイどうしが擦れます。

中央のコマは、香箱の外で噛み合う歯車によって逆回転しないようになっていて、巻き上げられたゼンマイの戻り力によって今度は香箱全体が反時計方向に回ります。
香箱の外周には、写真のようにギヤが付いていますので、これで隣の歯車を回します。

ゼンマイが解放される時にも、隣どうしのゼンマイが擦れます。
このゼンマイは12重に重なっているので、間にオイルがないと摩擦が大きくなって滑らなくなります。

毎度のことですが、ゼンマイの清掃・注油が終わるとホッとします。

続けて他のパーツもアルコール・ブラシで洗います。

テンプの軸を受けるルビーに注油します。

まず、このように花柄の止め金具を開きます。

軸受をピンセットで取り出し、蓋をしているルビーを離します。

このルビーは重なっているだけなのですぐに外れます。
もう一方の軸受ケースに入っている孔付きのルビーはケースに嵌め込んであります。
中央の黒い棒は髪の毛です。
右のルビーの表面には、既に直径の3分の2ほどの範囲にオイルを垂らしています。
左の孔付きルビーと軸受のセットをピンセットでつまみ、右のルビーに被せます。

2枚のルビーがオイルの表面張力でくっつきます。
直径の約半分ほどの所にある白い細い線がオイルの外縁です。

オイルの量に過不足が出たり、オイルが中央に寄らずに端に流れてしまうと、再度アルコール洗浄からやり直しです。
今回は2回目で上手く適量のオイルが入りました。
これをプレートの孔に戻します。

道具です。

ネジサイズ毎のドライバーと、数種類の針、ピンセットなどです。
また、段々近くが見えなくなってきているので、私の時計作業には実体顕微鏡が必須です。

次回は組立です。

山崎

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