TUDOR 5

ベゼルを磨きました。
文字盤の周りにあって時計の表情を作る重要パーツです。
ここも長年の使用で細かなスクラッチ傷が沢山入っています。

これもペーパーとアモール、コンパウンドの順に磨きます。
ちょうど円錐形状ですので電動ドリルを使います。

ドリルに治具を持たせ、治具の表面に両面テープでベゼルを貼ります。
治具は、プラ板を丸く切って中心にボルトを通し、コマの形にしたものです。
ドリルを少し回転させ、ベゼルの中心が回転軸と一致するまでベゼルの貼り位置を調節します。

中心が出たら、歯ブラシの柄で作った磨き棒の先に、細かく切った各番手のペーパーを両面テープで貼り、回転するベゼルに当てて研摩します。

ドリルを使うのは2000番のペーパーまでで、そのあとのアモールとコンパウンドは、ベゼルを置いた状態で磨きます。
と言いますのは、アモールもコンパウンドも水分があるので、両面テープが直ぐに剥がれてしまうのです。
また、これらは磨き作業の最終工程ですから、顕微鏡下で傷の減り具合を見ながら磨く方が効率的です。

ベゼルもステンレスですが、ケースに比べると少し軟らかい素材のようです。
ヒノキ棒で磨くと、ヒノキの繊維が勝ち過ぎて小キズが消えません。
そこで、眼鏡拭きの布を小さく切って、これにコンパウンドを浸み込ませて磨いてみました。
どうやら正解でした。
徐々にキズが取れていきます。
時計作業をすると毎回何か発見があって面白いです。

ペーパーから始めて延べ3時間ぐらい作業をしますと鏡面に仕上がってきました。

もともと大きな打ち傷が無かったので研摩時間が少なくて済みました。
素材がステンレスですからしっかり磨くことができます。
メッキですとこのようにはいきません。

今回の時計も段々と仕上がりに近づいてきました。
次は風防の研摩です。

山崎

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