ホンダジェット 2

続きです。

以前にこの本を読んでいたのですが、今回の見学に先立って改めて読み直しました。
技術的な話の他に、プロジェクトの進め方とか、外国と日本の体質の差とかいろいろと興味深い話が書かれています。

さて、機体の外回りの話ですね。

エンジンの前方側です。

エンジンポッドの内面が鏡面仕上げなのでタービンが美しく反射しています。
タービンの形状が面白いですね。

このHF120エンジンはターボファン方式といい、最前方の大きなファンで空気を圧縮したのちさらにその後方の複数のタービンで空気を圧縮し、燃料を供給して燃焼させます。

各部品の加工精度を高め、タービンの空力形状も進化させたそうです。

ただ、高温下での強度が必要なタービンブレードはセラミックスの単結晶材で作るそうですが、ここはGE社が担当しているそうです。

機体の空力低減も影響していると思いますが、このエンジンにより、最高速度787km/h、最大運用高度約13,000m、航続距離2,185kmであり、同クラスの競合機の中ではトップです。
燃費は同クラスの他機に比べて17%良く極めて低騒音だそうです。
しかも耐久性があり、競合機の最大使用時間が4,000時間なのに比べて、このエンジンは5,000時間です。
性能もランニングコストも良いとなれば人気が出て当然ですね。

エンジンの後ろです。

すいません、何がどうなっているのかよくわかりません。

後部の横からの眺めです。

エンジン本体は主翼から随分後ろにオフセットされているのですね。
因みに左に見える窓は客席最後方の窓です。

また、垂直尾翼が大きく後ろに傾いていて、その先端に水平尾翼が付いています。
このようにして主翼と水平尾翼の距離を長くとることで機体の縦安定が増し、水平尾翼の面積を小さくすることができます。

パイロットのIさんのお話ですと、翼上にあるエンジンは、飛行機全体の重心位置とほぼ同じ高さにあり、パワーを出し入れするときにピッチの変化が殆どなく操縦し易いそうです。

胴体後部の両側にはスピードブレーキがあります。
このブレーキ板が両側にパカッと開いて抵抗となり機速を弱めます。
主に、着陸後の減速時に使いますが、必要であれば飛行中のどの速度でも開くことができるそうです。

後ろからです。

エンジンパイロンの形状が面白いですね。
これにより空気の流れを制御して抵抗を下げているのでしょう。

右のウイングレットです。

後縁が外側にカーブしていて空気流を細かに制御しようとしています。

横顔です。

開発者がフェラガモの靴を参考に創作したそうですが、この形状により胴体の空気抵抗が凄く低減されているそうです。
キャノピーの飛び出しと、ノーズ下方の飛び出しとでバランスするのですかね。

ノーズエリアは一体のコンポジット構造です。
とても美しい連続した曲面をしています。

計器のセンサーです。

上中下の真中が速度計のピトー管で、動圧口といって前方からの空気が入る穴が前方にあり、静圧口といって進行方向に直角に開く穴が周囲にあいています。
これら動圧口と静圧口の圧力差によって機速を計ります。

上のも同じピトー管でこれは予備計器のものです。

当然ですが、これらピトー管は、前からの気流の圧力を正確に測定する必要があるので、機体の巡航速度などに応じて最適な角度に付けられています。

下のは着氷センサーで、飛び出している棒に着氷が始まると、主翼の前縁に暖気が送られ、キャノピーの熱線に通電されます。

ランディングライトです。

車みたいにLEDなんですね。

ブルーの部分はなんとメタリック塗装です。
飛行機の塗装なんて空気との摩擦で直ぐに剥げるのに、とか言ってはいけません。
機体が綺麗かどうかは所有者やパイロットにとってとても大事なことです。
また、機体が美しいと操縦が丁寧になるのです。

それにこの影の映り方がすごいです。
先に述べたようにスプレー塗装のガン肌がありません。

ただし、この塗装の素晴らしさは遠くから見ている人にはわかりません。
パイロットや搭乗者だけにしかわからない嬉しさですが、こういう拘り大好きですわ。

前輪です。

ゴム部分の両側面に庇が付いています。
初めて知りましたが、雨の日にこの庇が水を左右に散らせ、エンジンに吹き込むのを防ぐそうです。

主車輪です。

こちらには庇はありません。
飛行機のタイヤの溝は、主に直進時の水はけ効果が求められるだけですのでこのように縦方向だけです。

それにしても、この機体の主車輪も前輪もとても小さいです。
あまりに小さくすると、回転数が上がり過ぎますし、タイヤの空気による緩衝効果も無くなります。
でも、タイヤが小さい方が全体が軽くなるし、主翼や胴体の格納スペースも小さくできます。
機体も低くなり、乗り降りし易くなります。
これも開発者の拘りでしょうね。

さて、機体の外観は一応これで終了です。
次回はインテリアですのでお楽しみに。

山崎
あみ知的財産事務所

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