モグラのフェリー 2

さて、後半戦です。

妻沼の様子を電話で聞きますと、雲は多いものの14時くらいに軽井沢に到着するぐらいだと現地到着時に雲が晴れるだろうとのことです。
なので、長野滑空場を13時30分に離陸することにしました。

警察の運転練習が続いていたのですが、離陸の瞬間だけ無理をお願いして滑走路に並べたコーンを除去してもらいました。

風向きの関係で北向きに離陸し、南に向かいます。
そのあと浅間山の南を東向きに進み、軽井沢を目指します。

浅間山です。
標高は2,568mあります。

頂上が晴れていれば山の斜面に沿って頂上近くまで行きたかったのですが、雲に覆われていたので裾の方を迂回することにしました。
今のタイミングだと、突然噴火する恐れもありますし。

軽井沢方面の様子です。
その向こうは碓氷峠を一段下がって関東平野に続きますが、関東平野は雲で覆われています。

軽井沢の別荘地の上空です。
遥か北方に何処かの山が見えますが雲ばっかりですね。

妻沼では雲に隙間があるようですので、このままオントップで東進します。
何かの航空小説で「オントップは悪魔の誘い」なんていうフレーズがありましたが・・・・。

妻沼までは約30分の距離です。
GPSで場所を確認しながら進みます。
もし現場に着いて雲が切れていなかったらと思うと、ついGPSを見る回数が増えます。
早く着いてくれというよりも、この雲の多い状態で現場に着いたことにはならないでくれという願いです。
自然に高度が上がってしまい、気が付くと5,900ft(1,800m)になっていました。

東京の都心の方向もこんな感じです。
このまま妻沼まで進んでダメなら長野に引き返すだけの燃料はあります。
大丈夫とはわかっていても不安になり、Kさんとの会話も少なくなります。

しばらく無言が続いたあと、左下方にブロッケンの虹が現れました。
雲の近くを飛ぶと時々見ることができます。

丁度、その向こうに雲の切れ間も見え始めました。
これなら適当な隙間から雲の下に抜けることができそうです。

少し安心したので後ろを振り返るために旋回してみました。
50km後方の浅間山です。
雲の上に見るととても雄大です。

高崎を過ぎたあたりで雲の孔をみつけ、エアブレーキを開きながら旋回降下して下に抜けました。
高度は2,200ft(650m)です。
雲の下は光が少なく、これぞ関東平野の曇り空といった感じです。
うっすらと前方に見える利根川が右に曲がった先が目的地です。

妻沼滑空場に到着しました。

滑空場は大体河川敷と相場が決まっています。
アスファルト舗装などはありません。
先日の台風で一度滑走路が水につかり、路面の凹凸がひどくなっているようです。
既に東海・関西地区から遠征しているグライダーが飛行訓練をしていますが、一応、慎重にアプローチします。

なんとか到着しました。
長野から約1時間。
このときには上空が再び雲に覆われ隙間がなくなってしまいました。
今回は、地上班との連携がドンピシャに決まって良かったです。

山の景色はあまり見えなかったですが一つ経験を積むことができました。
しかし、やっぱり天気の良いときにのんびり飛ぶ方が安心ですね。

山崎

あみ知的財産事務所

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