スチレン飛行機 3

こんにちは。
今回は飛行機の横安定についてです。

このスチレン機では、両翼端を約20度ほど上に折り曲げています。
これを上反角と言います。
これにより、機体が横に傾いた場合でも自動的に傾きが修正されます。
下図に示しますが、仮に、機体が飛行中に風などによって左に傾いたとします。
機体は左に流れ始め、対気を左前から受けるようになります。

因みに、このように流れることを航空用語で「すべる」と言います。
機体がすべると胴体側面に不用意に気流が当たるため抵抗が増えて高度が下がります。
実機の場合、パイロットは機体をすべらせないように、垂直尾翼の後ろにある方向舵(ラダー)を足で操作して、機首の方向を常に修正します。

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主翼に上反角を持たせると、左の翼端では気流が裏面に対して大きな角度で当たり、右翼端では気流の当たる角度が浅くなるか場合によっては上面に当たるようになります。
この結果、左翼の揚力が増え、右翼の揚力が減って、機体は水平に戻されます。
もしこの修正が効き過ぎ、上図の四つ目の絵のように右に傾斜した場合には、今度は右前から気流が当たって機体の角度が水平に戻されます。
バランスの取れた機体だと、このような横揺れが次第に終息し、安定な水平飛行に戻ります。

また、このように上反角を付けると、胴体に対して主翼の揚力発生位置が上に離れます。
そのため胴体などの重量物が落下傘のようにぶら下がる状態となり、機体の姿勢がより安定します。
このスチレン機では、主翼の位置が高くなるようにそもそも主翼を胴体の上辺に取り付けるので、ぶら下がり安定効果が抜群です。

さて、このように横安定が良くなるともう一つ良いことがあります。
垂直上昇タイプの機体は、下図のようにゴムで打ち上げたあと上空で滑空姿勢に移りますが、このときの「返り」が良くなるのです。

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上空でスピードが落ちたときの機体の姿勢は色々で、時には背面姿勢になっています。
その状態で落ち始めるわけですが、ぶら下がり効果のために機体はクルッと正常姿勢に戻ります。
この返りが上手くいけば、高い高度から滑空できて滞空時間が長くなります。

それと、このように翼端で折るようにすると、そこだけ区切られてなんとなく色付けがし易くなります。
まあ、別に折れ線がなくても色分けすればよいのですが、真っ白な部分で塗り分けるとどうも落ち着かない性分なのです。

尚、2019年7月1日より 本機の提供を始めました。
航房 YAMASAKI

山崎
あみ知的財産事務所

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