GDI パジェロのエンジンオーバーホール

こんにちは
今回は自動車エンジンのオーバーホールです。

車は、大阪大学体育会航空部の所有する97年製パジェロです。
頑丈なボディを持ち、約1tあるグライダーのトレーラーを安心して牽引できる車として10年ほど前に購入して利用しています。
すでに18万キロ走行しており、エンジンのアイドリングが非常に不安定になっていました。

GDIは、三菱のGasoline Direct injection engine(ガソリン直噴エンジン)の略です。
当時は、エンジンの燃焼室内に直接ガソリンを噴射するため省エネ効果が高いと言われていました。
しかし現実は、カーボンの溜まり易いエンジンとしてあまり評判が良くなく、リリースから僅か11年で三菱はGDIエンジンの製造を中止しました。
世間では6~7万キロ走行するとオーバーホールが必要だと言われていました。

18万キロという走行距離はある意味驚異的であり、廃車にするかとの話も出たのですが、金欠病の学生クラブとしては簡単に次の牽引車を購入することができません。
個人的には前後のブリスターフェンダーの飛び出しが格好良く、もう少し使いたい気持ちがあります。
そこで、ダメもとでエンジンをオーバーホールしてみようということになりました、というか、しました。
因みに、業者に作業を発注すると60万円とも70万円とも言われます。

ネットでエンジンのサービスマニュアルを入手し4月から分解を始めました。
分解前のエンジンはこんな感じです。

Ⅴ型6気筒、3500CCです。
複雑かつ汚れていて分解する価値があるのかと疑ってしまいます。

一番下に、3気筒ずつ収まった右バンク、左バンクのシリンダーブロックがあり、その上に、ツインカムを備えたカムケースが載っています。1気筒に対して吸気バルブ・排気バルブが夫々2個ずつあり、合計で24個のバルブがついています。

カムケースの車両中央側に燃料を夫々のシリンダーに直噴するインジェクタが合計6本付いており、これと左右のカムケースを覆うように吸気マニホールドが載っています。
写真だと何が何だかわかりませんね。

上の写真は吸気マニホールドを取り外し、左右のカムケースが見えた状態です。
夫々のカムケースの中央には、シリンダーに空気を供給する複数の吸気孔が開いています。
下の写真でも少しわかりますが、この孔はすさまじく汚れていました。
どれくらいかというと、ひよこ饅頭の皮ぐらいの汚れが孔の内壁にビッタリと張り付いた感じです。

左バンクのカムカバーを外し2本のカム軸が見えた状態です。
中央の吸気孔が真っ黒です。
色が黄色いのは、長年の使用で焼けたオイルが染みついたものです。
このように黄色く焼けているということは普段のオイル管理が十分でなかったことを意味します。

こちらはカムカバーの裏側です。結構な汚れですね。

車は格納庫の中で整備しています。
普段はここに分解したグライダーが入っています。
それにしても、もう少し片付けたらいいのにと思いますが、これは実は私達の代からの伝統みたいになってます。

左右のシリンダヘッドが外れました。
V型6気筒の様子がよくわかります。
幸い、シリンダの壁には大きなダメージはありません。
全体に汚れて見えますが、クリーニングすると綺麗になると思います。

ここまで来るのに、約一週間掛かりました。
熱で劣化したボルトが折れたり、メチャメチャクチャ固く締められていたクランクシャフトプーリーを外すのに苦労したり、また、外した部品が元の位置に戻せるように写真を撮ったり、部品ごとにタグを付けたり、分解だけでも結構な手間が掛かります。

取り外した部品です。

一般に、エンジンオーバーホールの全体の工数を仕分けると、分解に2割、掃除に7割、組立に1割と言われるようです。
確かに取り外した部品を見るとすさまじくカーボンが付着していて掃除する気力がわきません。
残念ながら魔法の薬などありませんので、これから、割りばし・歯ブラシ・洗剤・電動ブラシなどあらゆる道具を使って汚れを落としていきます。

まだまだ作業が続きます。

山崎
あみ知的財産事務所

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