メルセデスベンツ W124 フロントガラス交換 2
次は、実車側の作業です。
まずは、割れたガラスの取外し作業から。
実はここからが大変でした。
先ず、割れたガラスを取外すためにはいろいろな付属品を外さなければなりません。
無理をすると部品を壊してしまうため、マニュアルやネット情報で各部品の取外し方を確認しながら分解作業を進めます。
屋根上のモールを外します。
モールは屋根から離す方向に引くだけなのですが、モールの取付金具の幾つかが壊れました。
屋根の溝にこのようなクリップが取付けてあって、中央の金属製のクリップでモールの板面を挟む構造です。
クリップの赤い部品と白い部品とが楔構造になっていて、両者をスライドさせるとクリップの幅が広がって溝に密着します。
しかし、モールを持ち上げるときに金属製のクリップがモールと一緒に外れてしまうのです。
そのときプラスチックが壊れますから再利用不可です。
幸い、10年前にボディカラーを塗り替えたときに買っておいた予備のクリップがあったのでラッキーでした。
こちらはAピラーのクリップです。
ここはクリップをボディに直接リベット止めできるので交換部品にはなっていません。
横でブラウンに光っているのがモールです。
左右と上辺のモールが外れますと下辺のワイパーモータを外します。
ワイパーモータから左右にはゴムのシール部品が伸びています。
これはガラスの下縁に噛み込む構造になっていてガラスの下に流れた雨水を左右に流します。
ワイパーモータを外しました。
そのために結構いろいろなものを外しています。
各種のプラスチックカバーは複雑な構造で接続され、カバーどうしを抜け止めピンで固定した状態でボディにねじ止めされています。
また、ガラスの下縁には、ワイパーユニットと一体になった防水用のゴムカバーを嵌め込む溝が設けてあります。
この溝は、U字断面のプラスチックモールをガラスの下縁に接着剤で固定するもので大変手が混んでいます。
そのような部品を構造を確認しながら外したのでかなり時間を取られました。
次は内装です。
先ず天井パネルを外します。
左右のサンバイザー、バックミラー、照明ユニットを外し、天井パネルを前方へスライドさせると、裏面の2本の爪が外れて天井パネルが外れます。
このようになりました。
これでガラスの上縁にアクセスできます。
次に左右のAピラーのカバーを外します。
夫々複数のクリップで止めてあるのですが、爪の噛み込みがしっかりし過ぎています。
カバーを少し浮かせて隙間から光を照らして構造を確認し、丁寧に引っ張ったのですが予想通り壊れました。
金属製の爪が、カバーのプラスチック製の噛込み部を食いちぎった感じです。
ただ、幾つかの噛込み部は生きていますのでこのままでいくことにします。
これで左右の縁部にもアクセスできるようになりました。
尚、下縁は、ダッシュボードを外さなくてもステンレス線が通ります。
作業時には、ダッシュボードの上に別のカバーを置いて養生します。
写真が傾いていてすいません。
いよいよ接着剤の切断です。
まず、右縁から切ることにして、ステンレス線の一端をAピラーの上にある板金の孔に結びます。
次に、もう一端をガラス右縁の低い位置から外に出します。
こんな感じです。
ステンレス線の引っ張る方の端にレンチを取り付けて取手にし、右縁に沿って上に引っ張ります。
このとき、取手はできるだけガラス面に近付け、ステンレス線がガラスの角に強く当たらないようします。
ガラスの角を擦ってしまうとガラスが簡単に欠けてしまうからです。
ボディの側にはマスキングテープを貼ってステンレス線が当たってもいいように養生しておきます。
ただし、ステンレス線が強く当たるとマスキングテープが破れ、ボディの塗装を痛めますので注意です。
写真はありませんが、下縁を切るときには、ダッシュボードとガラスの間にカッタ―作業用の下敷きを挟んでダッシュボードに傷が付かないようにしました。
このようにしてステンレス線の取付位置を何度も変え、約2時間かけてガラスが外れました。
ただ、元々割れていたガラスを外す作業なので少々緊張感を欠き、ガラスの縁をステンレス線で強く擦ってしまい複数個所にクラックが入りました。
改めて考えると、ショップでガラスを壊さずに取外せたのはかなりラッキーでした。
ネット情報では、一般にガラスの上縁とボディとの間に水が溜まり易くボディ側が錆びていることが多いとのことでした。
しかし、この車は幸いどこも錆びていませんでした。
モールや内装カバーの爪構造とか、このようなシール部回りの処理をみますと、当時、宣伝していた「最善か無か」などというキャッチコピーも伊達ではありません。
さて、次回はガラスの取付けです。
山崎
あみ知的財産事務所